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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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神の盾、黒の信徒たち 4

 郊外の街からすっと追っ手の気配が消えた。

 例のゴーレムが起動しないように遠巻きから探ってるようで。

「しっとりとした変な視線があったぞ?」

 聖堂騎士団も情報収集で散ってたのが、地下に舞い戻ってきたところ。

「羽虫のような視線で」


「こう纏わりつくような、まったく気持ち悪いったらありゃしない」

 そんな嫌悪な視線でも起動してくれたら、それはそれで大惨事になるかもしれない。

 実験と称しての『迷惑事』は錬金教室の十八番のようなものだ。

 ここ数年はずっと。

 この教室が各地の聖王都郊外で()らかしてて。

 火消しに追われるのが神の篝火・青の信徒たちだ。

 序列が低いってことは、雑用も多くなると同義で――神々の代行者か使者つかいの足元を照らす者という肩書以外はない存在だ。

 そこで巫女王は。

 この場合、神の代行者のような立ち位置なのだ。


 主教国家、万歳!!



 後輩の紅の修道女が審問官として在籍してた時。

 各枢機卿の苦情が本物かどうかで調査したことがある。

 正確にはタレ込みがあって。


 まあ。

 ライバルからの密告だと思われてたので。

 憂いが晴れるまではしっかりと調査はされなかったが。

 実のところ、市井に卸されてた錬金道具には()()()()()があった。

「見た目は変わらずに中身がアップデートされているようなんです」

 まあ、そういうことも。

「セル姉さんはまた、適当に」

 いや、突っかかるね。

 この妹柱は。


 あたしに人差し指を突き立て。

 がっかりしたように...

「今さっき、サンプルを模倣したのではなくそのまま使って、量産化したというじゃないですか」

 う、うん。

「と、いう事は。中身がアップデートしたのではなく!」

 気が付いた後輩たちが柏手を打つ。

 おいおい?

「そう、もともとよく分からない機能が理解できたので、起動するための起動鍵トリガーを仕込んでいってるんですよ!! そこで、今までは殺気に反応してた細やかな機能しかなかったゴーレムは――」

 で、皆が静かになった。

 あれ? どったの。

「しぃー」

 ミロムさんがぷっくりとした可愛い唇の前で指を立てた。


 なになに。

 すっごい気になる。

 ちょ、もー黙り込まないでよ。

「ちょ、セル黙って」

 耳を澄ませば――石畳みの上を何かとてつもなく重いものが擦れていくような音が聞こえる。

 街の角や隅に鎮座してたゴーレムはまるで『雪だるま』のような雰囲気があった。

 あれが起動すると、どんな原理か分からないけども四つ足のケンタウロスもどきへと変態するという。

 まあ、これは後輩からの報告だが。


 ああ。

 なんかゴツゴツした音が。

 この界隈をいったり来たりしている気がする。

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