神の盾、黒の信徒たち 2
神の盾として。
正教会の巫女王を支えるに至って、金策はとてもとて~も必要なことだ。
まずは支出、宗教国家だからお布施が大事な収入源になっている。
国でもあるから領国内で徴税される作物や、毛皮、鉱物に工芸品などもお布施以外でみれば立派な収入源ではあるものの、国庫に入って御用利きの商人たちに交易で稼いできてもらって金子に代わるまでのスパンが長い。
もっと直接的な。
そうお布施のように直接、金蔵に入るイメージにかけるのだ。
正教会は生臭いものの集まりだってこと。
紅の修道女は、とくとくと『金』について語った。
勿論、郊外を修羅場に変えた街とは反対側へ移動した後で――
地下にてひっそり潜り込んだ後で、だ。
パンツの神さまは、あんなことがあったにも関わらず。
あたしの膝に鎮座して。
「まーまのすとーん、きもちいぃ~」
っだと。
「まーま?」
「まーまはすとーんぢゃないからね」
引く蒼の魔女。
子供に何を吹き込んでるんですか、先輩のは紛れもないすとーんですよ、と。
鋭い眼差しであたしを貫いていった。
「おいおい穏やかじゃねえな、殺気か、今の?!」
教会に狙われていないアグラとナシムが買い出しに出てた。
地下に入った瞬間。
蒼の魔女の視線が飛んできたという。
「殺気だったら、地上にあるゴーレムが起動して大変なことになりますよ?」
「そうそう、そのゴーレムだけど」
錬金術を生業とする黒の派閥に属する信徒たちが。
郊外の街も物騒だろうからと勝手に据え付けていった――迷惑な置物のことだ。
効果は一目瞭然。
半年前のことだ。
聖王都の護りは、神代に現れた大賢者によって施していった結界によって、おそよ数百年の堅い守り手を担っている。おそらくは核撃魔法でも傷すらつけられないだろうという代物で。これのせいで、近隣の村や街は賊徒どもの腹いせにされてきた。
これの打開はずっと模索されてきてて。
一時期は国内警備の重点化として兵力の増強案が通ったくらいだ。
結果はてんで話にならない、だ。
賊徒たちの連度の方が高い。
くいっぱぐれた傭兵や、奴隷兵の生き残りみたいなのが混じっている。
これを信者から構成された信徒兵で迎え撃つのは。
自殺行為だった。
「錬金の大家である黒の枢機卿は一計を案じます」
聖王都にも屋敷を持つ大貴族。
アラマンダ―伯バフォス家、当主が今代の黒を拝命してた。




