見てよ、郊外に太陽がたくさんあるよ 3
ゆらゆら踊れ、ゆら~りゆららに踊れ、炎の精よ母とゆら踊れ、ゆら~りゆらに、ゆら踊れ。
舞踊の技一つが、
詠唱の魔力装填ブーストになっている。
踊り方、舞い方、飛び方、滑り込み方に角度、とキレ。
あたしが生前、魔女だった時に特別目を掛けてたシャーマンなダークエルフに授けたものだ。
舞踊の心得を理解していれば、
他の魔法にも応用は聞く。
まあ例えば...
おっと浮気はダメっぽいな。
炎の精霊たちが涙目っぽい。
こりゃ失敬。
星になって、ゆら~り踊れ、玉になって、ゆら~りゆららら踊れ...
核撃魔法!! ふぁいっやー、ぼぉーる!!!!
よし! 今回は踊り間違えなかった。
失敗は無し。
どうだ、はっはっすご~いだろ。
『ちょー、何つくてんだよー!!!』
怒鳴るは、アグラどん。
シグルドさん一行は火炎連弾と同時に到着し。
ミロムさんらと再会、新たに加わった妹神マディヤ一行とも知己を得た。
そんで、だ。
郊外で禍々しい炎の太陽を目撃したというので――こんな現場までご足労願ったと。
そういう流れのようだ。
『ちょー、何つくてんだよー!!!』
は、最後の産物を前にする叫びで。
目撃後は、あたしの仲間だった黒い点が、はるか街の外に見える気がする。
はて?
もはや、あたしと街と黒点らという構図だが。
どうったの?!
◇
まあいい。
至高なる火炎球はまさに星になった。
そうなるように精霊たちにイメージさせて、想像させた火の星。
見た目は、そうだなあ。
絶望を火炎で覆い隠したような、
「美しい」
逝ってた。
この時はマジであたし逝ってた。
だって、赤黒く燃え盛る炎の塊だよ?!
想像してたのと一緒。
イメージ通りの黒い太陽ができた。
芸術なんて人それぞれの感性だと思うけどさ。
「これ、いいよね!!」
誰に同意を求めたのか。
友人たちははるか東のかなたで黒い点になってみえるんだし。
妹神のマディヤだって避難してるんだ。
『お姉ちゃんさ、部分的に忘れてるんじゃなく、ちゃんと覚えてるんじゃない?!』
念話がまな板を貫通した。
がふっ
あ、え?!
あたしはよろめきながら、宙にあった火炎球ほ放り投げてた。
この星はいくつもの世界を灼いてきたものだ。
神々が住まう天界を。
人界には焼け落ちた天界の残骸が降り注ぎ、
次元を超えて、魔界の地形も強制的に変えてしまった災いの星。
其の名は『羅睺星』。
中二の病に侵されたような響きだけど、あたしが転生させられたきっかけは、だ。
この吉凶の星で神々を強制退場させたことによる。
んで、踊ってたら。
忘れてたかつての人生?
いや、神のひと柱だったのを思い出したとこ。
えっと。
この星は危ないんで、そのまま宇宙に飛ばしちゃいましょう!!




