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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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見てよ、郊外に太陽がたくさんあるよ 2

 ゆらゆら踊れ、ゆらゆら踊れ、火のよゆら踊れ、ゆらゆらゆらに、ゆら踊れ。


 あたしは基本。

 火の魔法しか使えない。

 いあ、正確に言うと、火炎球の自己流オリジナル魔法しか使えない。

 ほかの精霊が少ないから。

 或いは――

 覚えてないんだわ。

 ほら、詠唱という歌を...

 うん、きっと。


 球になって、ゆらゆら~に踊れ、和になって、ゆらゆら踊れ...


 ヤっば。

 腰捻るとこ間違えた。

 あたしも詠唱と共に踊ってる。

 周りに精霊たちを招きながら、汗だくで踊ってる。

 普段の無詠唱でも蒸れる事はあるけど、ここまでじゃなく。


 ふふ、見惚れてくれるな、後輩ども。

 先輩の汗だくは見世物ではないぞ。


 対軍魔法!! ふぁいっやー、ぼぉーる!!!!



 初回のは郊外の街の北側に広がる荒れ地に堕とした。

 堕ちた太陽とか言われてて。

 付近は溶岩が破砕された孔の中に残っている。

 たぶん、まあ、たぶん。

 接触した地表が溶かされた結果だと思う。


 じゃ、次の火炎球はどうなったか。

 これも久々の詠唱と、踊り間違えた結果――火炎連弾ファイアショットガンっぽく飛び散ってしまった。

 郊外の南が燃えてるんだけど。

 消化は水魔法が使える人に任そう。

 着弾地点は数キロ先だし、バレる事ぁーないだろ。

「あは、ヤっちった」

 あたしの無邪気な笑みで。

 赦してクレメンス。





 そう、赦されるはずは無かった。

 なんでだよ、もう。

 見たいって我儘言ったの、()()()()じゃんかよ。



 このくだりの話をしたっけかな。

 誰かがさ、郊外に避難し... もとい逃げ回っているあたしらを後発になってしまった、元先発組のシグルドさんご一行さんを、だ。合流しやすい目印でも作ったらどうだろうって事になった。

 最初はちゃんと渋ったよ。

 あたしにはムリだって、無茶言うなよって、あと...

 あたしが魔法をブッパすると、街も消し飛ばすぞって。

 ま、最後は脅迫もしたか。


 で、


 流れなかった。

 流せよ! 不用意にデキたのは育てられないんだよ、間違いでしたじゃ済ませられ。

 ええっと、何の話してんだっけ。


 あ、ほら。


 みんなのデキるよって声援の下に。

 背中や腕に巻き付き絡み合う中、必死の抵抗から飛び出して、とびっきりのステージに立ったわけだ。

 いやあ、声援、気持ちいなあ。

 嗚呼、罵声も心地よい。


 うむ、くるしゅうない。

 キサマらも悲鳴ひとつ挙げられぬ、圧倒的火力で混沌に返してやる。

 あたしの業火の中できつくされるがいい。


 あーはっはっはっはっはっはっはっはっ...げほげほ、、、

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