見てよ、郊外に太陽がたくさんあるよ 2
ゆらゆら踊れ、ゆらゆら踊れ、火の精よゆら踊れ、ゆらゆらゆらに、ゆら踊れ。
あたしは基本。
火の魔法しか使えない。
いあ、正確に言うと、火炎球の自己流魔法しか使えない。
ほかの精霊が少ないから。
或いは――
覚えてないんだわ。
ほら、詠唱という歌を...
うん、きっと。
球になって、ゆらゆら~に踊れ、和になって、ゆらゆら踊れ...
ヤっば。
腰捻るとこ間違えた。
あたしも詠唱と共に踊ってる。
周りに精霊たちを招きながら、汗だくで踊ってる。
普段の無詠唱でも蒸れる事はあるけど、ここまでじゃなく。
ふふ、見惚れてくれるな、後輩ども。
先輩の汗だくは見世物ではないぞ。
対軍魔法!! ふぁいっやー、ぼぉーる!!!!
◇
初回のは郊外の街の北側に広がる荒れ地に堕とした。
堕ちた太陽とか言われてて。
付近は溶岩が破砕された孔の中に残っている。
たぶん、まあ、たぶん。
接触した地表が溶かされた結果だと思う。
じゃ、次の火炎球はどうなったか。
これも久々の詠唱と、踊り間違えた結果――火炎連弾っぽく飛び散ってしまった。
郊外の南が燃えてるんだけど。
消化は水魔法が使える人に任そう。
着弾地点は数キロ先だし、バレる事ぁーないだろ。
「あは、ヤっちった」
あたしの無邪気な笑みで。
赦してクレメンス。
そう、赦されるはずは無かった。
なんでだよ、もう。
見たいって我儘言ったの、あんたらじゃんかよ。
◆
この件の話をしたっけかな。
誰かがさ、郊外に避難し... もとい逃げ回っているあたしらを後発になってしまった、元先発組のシグルドさんご一行さんを、だ。合流しやすい目印でも作ったらどうだろうって事になった。
最初はちゃんと渋ったよ。
あたしにはムリだって、無茶言うなよって、あと...
あたしが魔法をブッパすると、街も消し飛ばすぞって。
ま、最後は脅迫もしたか。
で、
流れなかった。
流せよ! 不用意にデキたのは育てられないんだよ、間違いでしたじゃ済ませられ。
ええっと、何の話してんだっけ。
あ、ほら。
みんなのデキるよって声援の下に。
背中や腕に巻き付き絡み合う中、必死の抵抗から飛び出して、とびっきりのステージに立ったわけだ。
いやあ、声援、気持ちいなあ。
嗚呼、罵声も心地よい。
うむ、くるしゅうない。
キサマらも悲鳴ひとつ挙げられぬ、圧倒的火力で混沌に返してやる。
あたしの業火の中で灼きつくされるがいい。
あーはっはっはっはっはっはっはっはっ...げほげほ、、、




