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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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見てよ、郊外に太陽がたくさんあるよ 1

 誰かがさ、郊外に目印をと。

 そんな無茶なお願いをしたんだか、聞いたんだか。


 という訳で――

 でも無いんだけども。

 セルコットさんにお願いしてみましょう!

 ってことになった訳だ。


 どうしてこうなった、か。

 それは今、記した流れで、なんとなく。

『セルって、いつも無詠唱? なんで』

 いあ。

 なんでって、なんでだよ。

 あれ?

 火の精霊に愛されちゃってるんで、かな?





 ぢゃ、詠唱してみてよ。

 気軽にそんな流れで何百年ぶりだ?! えーと、2,いや300年は経ってる筈だが。

 封印したのには理由わけがある。

 みんなから、お前のは変だよって。

 あーもう、



 ゆら踊れ、ゆらゆら踊れ、火のよ踊れ、ゆらゆら、ゆら踊れ。


 そこでくいっと腰をひねって、片足立ちになる。

 おお、久方ぶりで... あはは、あたし、なんか楽しい。

 軸足はすこし膝を曲げるんだけど、ここがちょいキツくてね~


 玉になって、ゆら踊れ、和になって、ゆらゆら踊れ...

 爆裂魔法!! ふぁいっやー、ぼぉーる!!!!


 これあたしが精霊たちから学んだ、エルフ式火炎球の詠唱法。

 あれ? エルフ式だったかな、精霊式?

 いやいい。


 ぎゅるんって火の粉が玉になって、両腕を伸ばしたそらの先に球が出来た。

 それはもう、猛烈に、糞熱い熱量の火炎球が、だ。

 おいおい...

 いつもの5倍は汗出るじゃんよ、詠唱すると火加減が難しいんだよ、あたしにとっては。

 こう、イメージがとっ散らかるというか。

「はいっ! デキました!!」

 ギャラリーの連中はいいよ、自分でやらない癖に文句ばっか。

 何で急に石が飛んでくるんだよ。



 ※カメラ位置がギャラリー側へ――

「待て待て、セルーぅ、セルちゃーん、ちょーまて、話を!!!」

 取り乱したミロムさんは珍しい。

 ヒルダが居ない代わりのストッパーみたいな存在かな。

 ま、それも9割、あたしを甘やかしてくれるんで、ふふ、気にしないよ。

「なんだ、そのデタラメな詠唱は!!!」

 うっさいなあ。

 後輩たちがきゃんきゃん吠えてんだけど、無視無視。

 外野の目には、極悪な炎がうねりながら集まったように見えてた。

 こう方々から水をかき集めて水球でも練り込むような。


 後輩エルフ曰く、

『火炎球の作り方は、火の精霊から火種を集めるだけの作業です。先輩のように、()()()()()()を手駒のように扱い、触媒として極悪な火力にさせてしまう。もはや創造クリエイト、神々の所業のよう』

 なんて世界の終わりでも垣間見たような絶望に打ちひしがれてた。

 大袈裟な。



 あたし、普通じゃね?

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