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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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武王祭 騒動 9

 エール売りと警備隊長を介して、

 王都のとくに警備が薄い箇所が、ぱっと見では分からない暗号で記されてた。

 警備隊長が実際に口を付けたエールは、せいぜい4杯程度だ。

 が、レシートには20数杯も、飲んだかのような数字になっている。


 これがからくりだ。

《会場の警備は、近衛ではない...か》

 秘密結社アメジストの陰謀もここに関わってくる。

 秘密裏に王を殺害し、成りすました老師の指示によって、本来は厚くなるはずの開錠が手薄になっている。と、俯瞰した形で会場の構造図に、光点とする警備兵を置いて行っても()()から、やや厳重って気休め程度でしかない。

 近衛兵の剣は、この王国史でもっとも最強であるといえる。

 何をするにしても...

 生きて会場を後に出来る保証はないだろう。



「トイレ、込み過ぎ」

 警備隊長が涙目で帰ってきた。

 官僚には、

「仮設でもいいからトイレを求む!」


「おしっこくらい野晒しでも問題なかろうが」

 ってな具合で切り捨てられるんだけども、

 隊長さんは、それでもなお。

「“大”はムリがある!」


「いや、ぜんぜんだろ。男に生まれた不運を呪うがいい!!!」

 いや、食い下がる。

「5歩譲って、俺が女だとするぞ!」


「なんで5歩でお前が女に成れるんだ!! 500歩くらい後ろに下がれ! そして世の中の女性に謝れ、失礼なこと言ってしまいましたと、謝罪するんだよ!!!!」

 官僚の手を握り、

 隊長さんは、

「野糞している女を見たら、お前はどう思う?!」

 軽蔑するよな、見られてる俺だって糞ひねってる尻を見られたら...もう、散る覚悟をする。

「女性用の仮設トイレは、...ああ、ええと...職員からも、可及的速やかにという要望によって、必要以上に多く作ってある!! これはお前が心配するような」


「ま、マジか!?」


「お、おう、よ」


「それは1万人とか、10万人とかか?」

 持ってたオッズ表を膝の上に置き、

 目まぐるしく瞬きしながら、空を仰ぐ官僚。

「お、お前は...そんなに。いや、どこに設置するんだ! 置けるか、1000基とか、2000基くらいだよ。簡易トイレだから、タンクの容量も少量だ。汲み取りじゃ無い分、錬金術により糞は直ぐに乾燥して、土に還り易いよう工夫はしたと...」

 説明している彼を他所に。

 隊長さんは、売り子さんを捕まえて、

「ナマ2つ、後、トロツナ・バーガーひとつ」


「待てい、待てい!」


「なんだよ」

 注文した後だかんなって。

「何、俺の話をする―してるんだよ! トイレの話だろ、今まで」


「まだやってたんか? それよりも、Cブロックの2回戦は誰?」

 試合のプログラムは、官僚の手にある。

 膝の上にあったもので、AブロックとBブロックのシード枠が入ってこない、カードの結果はもう掲示板に出ている。

 賭博会場でも、歓喜の声と敗れた者たちのすすり泣く声が、混ざってた。

 もっとも、ギャンブラーたちは勝ち負けに関係なく、脱ぎたがるのも性分のようである。



 で、控室にも掲示板はあって。

 あたしも...ギャンブラーの血が騒いだ結果、だ。

 上着を脱ぎ始めたところで、女剣士のミロムに止められてたクチだ。

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