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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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神の篝火、蒼の信徒たち 5

「おっと、投了かい?!」

 巨躯の女が問う。

「ああ、そうだ。俺の負けでいい、金は...」

 天井に視線を泳がせて。

「従者がお前らの縄張りに行く。()()()額をババアに伝えておけ!」

 そんな捨てセリフがあるもんかよって感じで。

 ジョージは部屋の更に奥から出た。


 そのまま地下まで抜ける道をひたすらに階段で降りて。

 1ブロック分を地下で歩き抜けていった。


 聖王都の地下に街がある。

 正確には、

 元は古代遺跡のようなもので、ダンジョン化しなかったラッキーな街だ。

 幸運は住居として使える点のみで。

 不運は稼ぎ場所には向いていないってことだ。


 結果、地上の()みたいな仕事しか回ってこない。

 それでも内よりかはマシだし。

 回しているのも、賭博あそび場にいた3人からのもの。

 クエストをどう処理するかは。

 街の住人たちの問題だ。



 柱の陰、角に、穴倉みたいな瓦礫の中から見ている目がある。

 ジョージを睨みつけて、

 しばらくヒタヒタと。

 憑いてきていた者――オオカミと呼ばれた魔族だ。

「邪魔するよ?」

 街を仕切る長老のあばら家に入る。

 厚手の布が扉の代わりで、

 二間と半分でも手狭とは言えない一応住める家。

 長老の孫娘が出迎えて、

 ジョージは老人と対面で握手を交わした。

「べっぴんになったじゃねえか?!」


「もう、好いてるのが居るから、ちょっかい出すんじゃないよ!!」

 節操がないやつじゃん。

「こりゃ、まいったな。先約があるんかー じゃ、2番目でも」

 殴られた。

 いあ、ポスって音はしたけど力は入ってない。

「何しに来たんだ?!!」


「駒を動かしてくれないか? 教皇庁の侍医んとこでいい。現教皇は、それほど老け込んでもいなかった筈なんだが、ここんとこ姿を見ることがない」

 公の場に出てこないタイプは少なくはない。

 ただ、流石に国主たる巫女が出た公務に欠席は。

「うむ。だがそれも歴代ってのを紐解けば珍しくはないのだろ?」

 長老は長生きだ。

 セーライムの建国当時から草として入り込んで今の地位にある。

 魔狼族のハーフやクォーターが生れ落ちても、セーライムの地下で巣食い続けた筋金入りの密偵。

 ジョージは若いころの無茶が重なって、彼らを知るきっかけになった。

 一族の悲願ってのも知っている。

「ふー、居なかった訳じゃねえ。意図的に流布してる感じがするんだ、はぁー勘なんだがな」

 根拠がない勘だより。

 蒼の信徒たちは枢機卿のセンスに賭けている。

 それで徒労に終わっても。

 何もないなら民は苦しまなくていいってことになる。

 あとは緩やかに意識改革をして――

「よし、探ってみるさね」


「助かる」

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