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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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神の篝火、蒼の信徒たち 4

 遊び人のジョージは、貧民街の賭博場にあった。

 リズムのあるノックで馴染みをアピールして、伸びた無精ひげを指先で弄りつつ。

 それぞれのカードゲームでも覗き込みながら。

 まあ、誰がツイてるのか。

 或いはツキが無いかを物色しては――「あっち行けや! ツキがオチんだよ!!!」と邪険にする客とアイコンタクトを取っていた。

 ここはそういう店。


 いや、ちゃんと賭博あそび場として運営されているけど。

 娼館とおなじで。

 奥のテーブルに通されたジョージの前に、ひとつ席が空いてた。

 気づいたババアがチップ片手に声を掛ける――『こんな場末になんの用だい?!』

 掠れた声だけど。

 覇気かな。

 衰えてる様子はない。

「黒の、最近、いい噂を聞かなくなったな」

 切り出したのはカードを睨む片眼鏡のアスパラ。

 細面の亜人で、レイピアひとつで貧民街の掃きだめの王になった男――仇名がアスパラ。

 名の響きが似てたから、ジョージがそう名付けた。

「ほう耳聡いねえ」

 席につくと、懐を左右から攻めて。

 あれ?財布が...

「そもそも持ってねえんだろ、アンタ!!」

 右隣は屈強な女。

 一見すると、短髪で偉丈夫、傷だらけの大きな腕を持つ巨漢かと見間違える。

 よく見ると胸筋にしては、まあ。

 立派なスイカ、モモがごろんと張り付いてるんだから驚きだ。

 あたしも絶壁よりかは、こっちがよかった。

『一文無し同士、キバればいいのさ』

 ババアもか!

 アスパラの表情が一層、不機嫌にしわくちゃになる。



 カードゲームは小芝居のようなもので。

 実のところは、スラム一帯を仕切る“顔役”たちとの意見交換だ。

 ジョージに寄せる底辺たちの要望。

 出来ればすべてを汲み上げ、救ってやりたいが。

 教会のリソースも無限じゃない。


 大抵の案件は心を鬼にして。

 いあ、それでも何とかしたい時に、彼は顔役に頼むのだ。

 自費で。

『スラムの子供たちは確かに、安い労働力としてこき使ってくれてるよ』

 教皇庁だけでなく、司教区の雑務に少年が狩りだされ。

 少女たちは嗜好品として拾われている実態が見えてきた。

「前の会合の時、そんな話?」


「ああ、俺らも貧民街の子供らを、すべて把握してる訳じゃない。商人ぶたどものように脅せば、聞く気もない悪事ことまで下呂る奴らとは毛色が違い過ぎる。ジョージも分かってんだろ?! 片身でそっちに居んだ、黒はまだいい」

 まだいい?

『黒色銃士隊は、目立ってくれる。灰色銃士隊の方は、教皇直属の番兵どもだ!! 女神正教会の中枢で何やってるかなんて、子供が数人消えたくらいではその当時、まったく動きも出来なかったのさ』

 娼館に連れ込まれた青年は、氷山の一角。

 瘦せた身で栄養が十分でない少女も、5つはガキに見えるだろう。

「少女趣味の聖職者か」

 ジョージは手持ちのカードを場に捨てた。

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