妹柱と魔術師と 2
遠出してた魔術師が帰宅しての第一声が。
『俺の作品がー!!!』
だった。
ま、ポロロン騎士による魅了で全部ことごとく砕き壊したんで。
庭先には、元ゴーレムだった石の類だけが残っている。
大小さまざまに砕けてくれて。
頭部の名残りなどは、雰囲気だけに。
「誰だ!! 壊したのが態とじゃないんだろ、素直に謝れば」
ってのは態のいいテンプレのようなものだ。
知ってもも明後日を貫いてた従属騎士たちだったけども。
ポロロン騎士が歩み寄り。
「きっかけは私...がっ!!!」
裏拳だ。
魔術師は自信に身体強化を唱え、左腕に10倍もの筋力強化、スタミナの爆発的発揮力なんかも乗せて、ポロロン騎士を裏拳で制裁した。なんかこう、人間がゴムように捻じれながら壁に向かって飛んでいったような気がした。
「すげぇーな?! 首、イってねえよな!!!」
漫画みたいに壁に突き刺さってるような気がする。
アーサー卿が飛んだ先にも足を運んでまじまじと調べてた。
「まだ生きてるが」
「そ、弾いた後にマジックシールドを張って、骨が砕ける前に助けたからだ」
壁に突き刺さった騎士を指して、
「これは助けたとは言わんだろ?」
で、客人の気配にもようやく卿らがきづいてくれた。
今ちょうど、壁の中で『客人が来てます』と、ポロロン騎士が報告してた。
◇
応接室にマディヤを上座に飾って。
シグルドとアイヴァー、アグラが長椅子にふんぞり返ってた。
魔術師が対岸に来て。
「実に態度のデカい客人だ」
愚痴りながら、
「このお嬢さんは?」
「知らんのか?!」
アグラの前にシグルドが口を開いてた。
どちらが切り出しても、同じセリフになるだろう。
「高圧的だが、ああ、うむ。知らないな」
「この世界の三女神がひと柱である」
そこまでは言うつもりは無かった。
濁して濁して、濁しまくる予定だったが。
紹介された上座のマディヤはご満悦だった。
何が嬉しいのだろう。
『図が高いじょ~』
神力という権能を無駄なエコーで消費する神がここにある。
「う、あーう、う、む」
唸るだけだった。




