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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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妹柱と魔術師と 1

「ふん、血の気の多い奴らだ。そんな殺気駄々洩れだと、こちらが用意したセキュリティが反応する」

 庭に鎮座してたガーゴイル石造が変な音を立てて動く。

 庭の隅から順繰りに、正門へ向けて熱い視線が注がれて――いや、石造の目が真っ赤に燃える、侵入者ヤツらを追い出せと震えて嘶く。

 そんなナレーションでも付きそうなほどに、これ、めっちゃヤバいんちゃうの的な。


 ほら言わんこっちゃないなんて声が風に乗った。

 屋敷の中へ早々に逃げ戻る騎士。


 あ、あんた戦わないんだ。


 恐らくはそう皆が思った。

 当然、()()()()の仲間もだ。

「客人だぞ!!」

 は、今更、通じそうにない。



 さあて。

 動き出したセキュリティはとうとう臨戦態勢に入った。

 顎の下の当たりに輝く宝石と一緒に、何か絵文字みたいなもんが見えた気がした。

『おお!目聡いな』

 騎士のくぐもった声が窓ガラス一枚を通して響き渡る。

 そんな声音はいいから、助けてくれない?

『その宝石を壊せば石造も壊れると、魔術師うちのボスも言ってた。頑張って壊してくれ』

 やっぱり手伝う気はないようだ。

「それなら実演を!!!」

 マディヤがたわわごとにぴょんぴょん跳ねて、叫んでる。

 これが彼女の権能『()()()()()()』だが。

 騎士には浅かったようだ。

 クリティカルに至らず。

『腰に提げた剣は飾りでな』

 館の内外から「飾りかよっ」って声が滲み。

『わたしの弓とでは魔法生物との相性が悪い』

 逃げてるだけだろってのも聞こえた。

 どうも身内からも騎士の立場は狭いようで。

 それにもめげない彼の心意気は買いたいところだが――。

「それでも実践を~」

 マディヤが甘い声音で騎士を誘惑する。

 これで落とせないとなると、さすがに現職の神としての性能が疑われるので必死なのだ。

『うむ、女の子そこまでお願いされたら、騎士の沽券に』

 いや、それは。

 いやいいや、言うまい。


――ポロロロン...ポロン......ロン。


 弓の弦を指で弾きながら、騎士が現れる。

 んー、それは弓だよね?


――ロン、ポロロン、、、ロン、ポロン...


 ガーゴイルこと、魔法生物たちが弦で奏でられる音に耳を傾けてる節がある。

 まあ、たぶんいい音色だとは思うけど。

『さあ、諸君! 今のうちだ。宝石を砕きなさい』

 怪しい弦の音色で惹きつけて。

 ゴーレムであるガーゴイルのセキュリティはこうして突破されたのだ。

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