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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖国の郊外 4

 灰色が黒になった瞬間にどの枢機卿がどう行動したのだろう。

 一番怪しいのは『白の派閥』。

 だが、

「それではバレバレです。教会も王宮や後宮と言った有象無象の伏魔殿と大差のないところですから、誰彼の失態は、それぞれにとって好奇の美味しそうなデザートでしかないんです」

 なんでまた。

 気持ちの悪い連中だねえ。

「物凄く単純な図式でいえば、それぞれは学級クラスの人気者になりたい派閥の長なんですよ。ですから、クラス大半の指示を集めるためならば、追い落としもすれば、結託して無い事も有るように見せ合ったりします」

 後輩のうち紅は、その中心部に詳しい。

 異端審問官つうのは綱紀粛正を行う中立の執行者だ。

 正教会の審問官は内向きの修道士たちを監視してたのだが。


 年に一桁の審問官が汚職で処罰されてた。


 中立でいるというのが如何に難しいかを物語っている。

「そんなに教皇だか、法王にでもなりたいの?」

 バカな質問だった。

 蒼の魔女も首を横に振って、

 襟首掴まれてた、紅の()()()を揉みしだいた。

「やわらかい」


「黙れ!!」

 やや不機嫌な後輩が、あたしに向き直り。

「それだったら分かり易い権力闘争でいいと思いますよ。でも、彼ら四色の枢機卿は序列を競い合っているんですよ、現在の聖一品・大賢者は『白の枢機卿』です。聖二品・神の剣が『赤の枢機卿』、聖三品・神の盾に『黒の枢機卿』、最後に聖四品・神の篝火として『蒼の枢機卿』って流れになってる。一度、順位が付いたら不変というものじゃないから。巫女の神聖なる日とされる――」


「それって、生理?」

 あたしの何気ない言葉に後輩二人からキツイ視線が。

 刺さる、刺さる平坦で広大な大地のような胸板に、無作為に刺さる視線の痛さが伝わるだろうか。

 これ血反吐が噴水のように吹き出しそうです。

「デリカシー!!」


「言い方ー!!」

 そんなに突っ込まなくても。

 ごめんて。



 巫女の『あの日』の期間中は、乙女神とのシンクロ率が高まるのだという。

 いあ、これは正教会だけの言い分で。

 当然、実態ある神は『んにゃ』で通してた。


 唖然とする、後輩たち。


 いあ、普通に考えれば他人の生理の日がどうのとか。

 むしろ辛いだろうからチャンネルが閉じるのが普通だろう。

「そ、そんな筈は?!!」


「感化され過ぎだよ、聖女ってのもさ。あたしでいいのかって今でも物凄く思ってるよ?」

 そうだったと。

 関係者が声に出す。

 いあ、まーまと呼ぶ幼い神も同意しないでおくれ。

 その時のあたしが悲しくなる。

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