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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖国の郊外 2

 後輩くれないの傍にあった子が、急にあたしの方へ走り寄ってきた。

『まーま』

 と、驚きの言葉セリフを吐いてた。

『まーま、まーま』

 おいおい。

 後輩に目を向ける。

 紅は口笛を吹きながら、明後日に向き直してた。

「おい!」

 幼女はあたしの傍から離れないどころか。

 よりにもよって膝の上に載ってきた。

 ミロムさんも驚きの出来事。



 教会総本山から夜逃げのように飛び出した紅は。

 御神体が祀られてた祭壇と共に落ち延びたところだという。

「これ、落ち延びたと言えるの?!」

 聖王都からは、僅かに10里くらいしか離れていない。

 都の中に入れないだけで、影響下の街や村には入城が可能だった――いくつかは蒼の魔女がある為、顔パスで成立しているシーンもあった。

 それは、そうと。

 後輩たちの地位が特別である今、なるべく多くの情報を手に入れる必要があるのに。

「その言い方は...」

 紅が邪魔だと言っているようなものだろうか。

 彼女の手を取り、同僚で同期で、同級生の蒼が「心配しなくていい、こっちには兵器かみがいるじゃない!!!」こらこら、幼い神に何をさせようとしてるんだい。


 あたしの洗濯物から生まれた神さま。

 癇癪もちとの話だったが。

 あたしの膝の上でよく寝ている――あ、前髪が。頬なんてぷにぷにで丸くて、可愛いですねえ~

「セルが、親ばかだった!!!」


 あー?!


 思わずドスの効いた声が出かかった。

 聖王都の衛星都市くらいまでしか進めずに、時々後退も余儀なくされる。

 白の枢機卿ら一派と思しき刺客が来るからだが。

 それも昼夜問わずとなると。

 慣れが生まれるようで。


 後輩を囮にすると、

『こうやって()()()()が手に入る』

 食べるわけじゃない。

 よく囀る小鳥のようなものとなるからだ。

 代償は助命である。

「街を転々としているのに、しつこいと思わない?」

 尋問担当があたしの番だ。

 これは持ち回りで。

「そろそろ路銀が底を尽きかけたんじゃ?」

 ああ、そういう。

 渋った覚えはないけど。

 売られたわけか。

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