聖国の郊外 1
聖王都には今までにない厳しい入城審査があった。
まあ、結果の話をしよう!
あたしらは入場が拒否された。
理由は簡単だ。
信者じゃなかった。
厳密に応えるのであれば、あたしが『信者』では無かったのだ。
「信者じゃない?!!」
蒼の魔女こと、もう一人の後輩が頭を抱えて、額で床を抉った。
安い宿屋だと言ってたが。
まさか床をぶち抜けるほどの代物とは。
そこに目がいかないのは、あたし以外で――。
彼女曰く。
『床をぶち抜いたら、食糧庫が見えました』だ。
食糧庫の床面積と同じ広さの客室を宛がわれた。
金貨1枚の効果は大きい。
これでこの部屋と滞在のダブルが3日分得られたわけだが。
修理代は後日、追加で銀貨20枚ほど請求された。
これは私見だけども。
高くないですか?!
◇
冒険者ギルドを通じて、或いは知り合いの盗賊、魔法使いに道具屋とか武具屋などの力も借りて、後輩である、紅の修道女は『あたし達』を探してた――探してるという噂が流れてた。
何人かは、その、偽物だったんだけど。
これは、本物とも思えるというか。
いあ、本物なんだけども。
彼女の腕の中には、だ。
純白のローブに包まれた祭壇と共に、小さな女の子の姿も確認されてて。
今のところ。
あたしらのトコには、ソレがとても『本物にちかいような』雰囲気とでもいうか。
信憑性のある情報だったのだ。
さあて。
なぜ彼女が直接人探しをしないのか。
蒼の魔女曰く「そりゃもちろん!!」
「もちろん?」
反射で聞いちゃったけど。
「聖王都に迸った雷撃のせいじゃないかな?」
雷撃?
むむ。
お腹の当たりにずんと、神の感覚を感じる。
時々、あたしの中に降臨するようになんたんだよなあ。
乙女神さんは。
ていのいい駒だった、魔女ロウヒのツテが無くなて。
とうとう誰でも良くなった。
◇
失敬な!!
誰でもじゃないんだよ、パスが必要なんだよ。
『だからって、あたしの身体はあたしのだよ!! 魔王ちゃんが居たらその首根っこひっつかんで引きずり出すトコなんだかんね!!!!!』
今、マジでいない。
あたしは無防備ですよ~
『だからラッキーなんじゃないか』
蒼の魔女が心配そうに、あたしへ声を掛けている。
なんか壁に向かってニヤニヤ、ヘラヘラしてたからだが。
蒼の魔女とは対照的に。
「それ、たぶん神さま降りてるんじゃない?」
と、冷静なミロムさんが帰ってきた。
後輩と目配せをしたのちに。
「ほら、入ってきなさいよ」
と促してから、数分だろうか。
紅の修道女が覗き込むように戸口に立っていた。
「えへへ」




