白の狂信者たち 7
白の派閥での信条と言えば『清廉であれ、乙女神に捧げよ』とする。
派閥に所属する際、ニューフェイスな修道女たちは更に、俗世からの誘惑を断ち切る為の合宿に強制参加させられる。彼女たちは、下着とも別れを告げて――身一つ、冷たい洞窟の中へ入って祈りだけ7日間の行を行うのだという。
途中、ぽんぽんが痛くなった子がほぼ全員になるので。
実のところ2、3日は洞窟。
残りの後半は病院にいるというのが通例で。
卒業した少女たちは、晴れて白の派閥に入閥。
その印としてのローブが与えられる。
汚れなき純白の絹と、高い次元のエリート意識、ツンケンした性格へ。
温和だった子も高飛車なお嬢様風になるというから...
どこかでマインドコントロールでも受けてんじゃね?
ってのが教会の噂好きさんたちの間でネタにされてた。
◇
派閥ごとに教義が違う事もあるので。
教会と言う巨大な傘の下に考え方の違う、別の教団があるような雰囲気の中。
後輩はごく一般的に中立な異端審問官として上司に怒られてた。
ま、自室の隠し部屋に祭壇を作る。
これは赦されるが、神さまを生み出す行為は――OUTのようだ。
「いえ、当方の神さまですけど!! でもー」
「でもも、へちまも無いでしょ!!」
修道女の上司も、修道女。
後輩の部屋で黒墨になった躯を徴した結果。
男子禁制の『奥の院』に男が入り込んでた。
骨格から性別が分かり、降霊術によって『パンツ盗んでました』とゲロったので、昨今、院内で騒がれてた下着泥棒だと判明。これにより公共洗濯場、公共乾燥室の厳格な監視が解かれるようになる。
安堵した同様の趣味の女性陣もホッと胸をなでおろした。
「言うて、紅も似た趣味なのでしょ?」
「ええー!! 疑うんですか?!」
直上の上司が疑うのは、祭壇の神秘がパンツだからだ。
かつての旧文明で生み出された、“ジップロック”なる保存魔法で、匂いと状態をある一定時間止め置くアーティファクト。そんな貴重な技術を用いてた後輩を疑わないはずもない。
白の信者同様に、おまえも狂信者だよって突きつけた。
「疑われない理由が知りたいわ」
トーンは平常心。
其処が少し怖いとこ。
「そんなー 当方はいたって無害な小動物ですよ?」
「いや、どう猛な大型肉食獣にしか見えん。気に入った小娘をロックオンした後、ひとくち甘噛みしたら飽きるタイプだろ? ちゃんと育てて、自分好みするのが大事な過程だと...」
唐突に、何の脈絡もなく。
後輩が腕を組み、斜に構えて――
「先輩は、後輩を育てしくじったコト。悔しいんですね!! 当方が先輩の思い通りの『銀帯の修道女』さまって呼ばないことに、お腹を立てになさってる...とか?」
上司は浄化を得意とする魔法使い。
巡礼修道士の頂点に立つ、視力を失って特異の能力に目覚めた方。
世間では『銀帯の修道女』と呼ぶ。
「紅はなあ、一言が多いんだよ」