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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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武王祭 騒動 6

「なあ、試合はどうする?」

 ふたりしてベッドから天井を仰いでる。

 疲れたんで、横になってるだけ。

 剣士の腕は、あたしの頭の下にある。


 お! こ、これが...う、うで、腕ま...ままままま、まくら...。

 まてまて。

 動揺するな、興奮するな、ちく、TKBが勃つ。

 ここは深呼吸だ。


 そう、深呼吸。

 ふ、ふ、は~。

 ふ、ふ、は~。

 なんか余計心拍が上がる。

「そうだなあ...」

 声が腕を伝って、頭に注がれた気分になる。

 いややや、 聞こえてない、聞こえてない聞こえてな~い。

「変な噂が立たないように振舞わらないと、な」

 カフェで乳繰り合って、路地裏で青姦せいしゅんしたのも誰かに目撃されている、かもしれない。

 あれは軽率だったなあって、女剣士これが苦笑してたんだけど。

 あたしの方は、鼓動の高鳴りが耳を閉ざして全く聞いてなかった。

 話を振っておいて情けない。


 情けない話をもうひとつすると、だね。

 あ、言い難いんですが...

 漏れ、申した。



 日を跨いで宿屋へ、帰ったあたしを待ってたのは――紅の修道女こと、後輩だった。

 心配して、目が腫れてるんで。

 なんとも言い出しにくい状況である。

「友達と...その、遊んでた」

 で、赦されるか...なんて思ってた時期が2分まえにありました。

 宿屋の主人からも小突かれて、

 後輩もなんか、再び泣かせちゃった...みたいで。


 や、ごめんね。

 何も言わなくて。

「で、その友達ってどっちですか?!」

 え、どなた...ですか、じゃなく?

「えー、昔馴染みかな、あ」


「じゃ、女の人!!」


「あ、う、うん...や、ほら、あたし()()()()借金まみれのなんて、デート出来ないでしょ! これといって自慢できるとこないし」

 やや卑屈に自己評価してみる。

 昔馴染みでも、男どもとは気も合わなければ、馬も合わなかった。

 冒険者をしていると...

 どこかで出会う事はある。

 あいつら、人のチョークを見て笑いやがって――『未だ、アイアンなんて何の冗談だよ』ってな具合にさ、貧相なのは顔と胸だけにしろって笑うんだ。や、分かってる...鉄のチョーカーは、あたしがあたしの怠慢でそこから抜け出す勇気がなかった、それだけ。

 でも――。

「姐さんは魅力的っス! そこ自分で否定しないでください!!! 嫌いになりたくないけど、そんな自己評価する姐さんは嫌いになります!」

 って胸を激しく叩く子がある。

 あ、後輩ちゃんだ。

 おいおい。

 痛いって。

「“鬼火”の現リーダー、ミロムさまとはお会いに成れましたか?!」

 あ、女剣士のこと?

 あれの名はミロム・バーナード。

 今朝まで散々迷惑を掛けた、元同僚にして“鬼火”のチームリーダー。

 当時は、攻撃隊長だった、かな。

「あ、うん」


「姐さんをスカウトしに来たそうです!」

 そんなこと、言ってない気がするけど。

 ま、打算なく近づくものは少ない。

 鬼火か、気ままに冒険するのも...うん、悪くはないな。

「そ、っか...でも、今は未だ協会こっちの仕事があるからな。前金しか貰ってないし、ここは守銭奴らしくケツの毛まで毟り取るくらいに、ガツガツお仕事しないと!」

 それはまあ、あや、ね。

 意気込みとして。


 後輩がまた、あたしの胸を叩く。

 痛いって。

「教会も、先輩と仕事してるんです!! 忘れないでください」

 って、小突かれた。

 もう、何回叩くんだよ。

 上乳が潰れるって...

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