武王祭 騒動 6
「なあ、試合はどうする?」
ふたりしてベッドから天井を仰いでる。
疲れたんで、横になってるだけ。
剣士の腕は、あたしの頭の下にある。
お! こ、これが...う、うで、腕ま...ままままま、まくら...。
まてまて。
動揺するな、興奮するな、ちく、TKBが勃つ。
ここは深呼吸だ。
そう、深呼吸。
ふ、ふ、は~。
ふ、ふ、は~。
なんか余計心拍が上がる。
「そうだなあ...」
声が腕を伝って、頭に注がれた気分になる。
いややや、 聞こえてない、聞こえてない聞こえてな~い。
「変な噂が立たないように振舞わらないと、な」
カフェで乳繰り合って、路地裏で青姦したのも誰かに目撃されている、かもしれない。
あれは軽率だったなあって、女剣士が苦笑してたんだけど。
あたしの方は、鼓動の高鳴りが耳を閉ざして全く聞いてなかった。
話を振っておいて情けない。
情けない話をもうひとつすると、だね。
あ、言い難いんですが...
漏れ、申した。
◆
日を跨いで宿屋へ、帰ったあたしを待ってたのは――紅の修道女こと、後輩だった。
心配して、目が腫れてるんで。
なんとも言い出しにくい状況である。
「友達と...その、遊んでた」
で、赦されるか...なんて思ってた時期が2分まえにありました。
宿屋の主人からも小突かれて、
後輩もなんか、再び泣かせちゃった...みたいで。
や、ごめんね。
何も言わなくて。
「で、その友達ってどっちですか?!」
え、どなた...ですか、じゃなく?
「えー、昔馴染みかな、あ」
「じゃ、女の人!!」
「あ、う、うん...や、ほら、あたしみたいな借金まみれのなんて、デート出来ないでしょ! これといって自慢できるとこないし」
やや卑屈に自己評価してみる。
昔馴染みでも、男どもとは気も合わなければ、馬も合わなかった。
冒険者をしていると...
どこかで出会う事はある。
あいつら、人のチョークを見て笑いやがって――『未だ、アイアンなんて何の冗談だよ』ってな具合にさ、貧相なのは顔と胸だけにしろって笑うんだ。や、分かってる...鉄のチョーカーは、あたしがあたしの怠慢でそこから抜け出す勇気がなかった、それだけ。
でも――。
「姐さんは魅力的っス! そこ自分で否定しないでください!!! 嫌いになりたくないけど、そんな自己評価する姐さんは嫌いになります!」
って胸を激しく叩く子がある。
あ、後輩ちゃんだ。
おいおい。
痛いって。
「“鬼火”の現リーダー、ミロムさまとはお会いに成れましたか?!」
あ、女剣士のこと?
あれの名はミロム・バーナード。
今朝まで散々迷惑を掛けた、元同僚にして“鬼火”のチームリーダー。
当時は、攻撃隊長だった、かな。
「あ、うん」
「姐さんをスカウトしに来たそうです!」
そんなこと、言ってない気がするけど。
ま、打算なく近づくものは少ない。
鬼火か、気ままに冒険するのも...うん、悪くはないな。
「そ、っか...でも、今は未だ協会の仕事があるからな。前金しか貰ってないし、ここは守銭奴らしくケツの毛まで毟り取るくらいに、ガツガツお仕事しないと!」
それはまあ、あや、ね。
意気込みとして。
後輩がまた、あたしの胸を叩く。
痛いって。
「教会も、先輩と仕事してるんです!! 忘れないでください」
って、小突かれた。
もう、何回叩くんだよ。
上乳が潰れるって...




