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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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白の狂信者たち 3

 その日から、あたしのパンツが神格を得た。

 まだ生まれたばかりなので、妖精に少し産毛でも生えたようなものだけども。

『先輩のちょっと太めの抜け毛も、一緒に奉じたので』

 紅の修道女こと、あたしの後輩がべつの神殿の別の神像の前で。

 柏手を打って「あー」でも「うー」でもない祈りを捧げる。

 天界へ誰かに通じて欲しいなと思ったら、それは祈りでいい。

 ただし、誰それに『届けぇー!!!』って強い気持ち、感情が乗らないと繋がる物も繋がらないんだけども。


 天界の避暑地にあるあたしと。

 島大陸の端で、蛇女と戯れてた妹柱マディヤにパスが繋がる。

「「あ! 来た来た!!」」

 運命の三女神こと。

 世界の主神・乙女神と、魔女あたし竜女神マディヤは三人でひと柱扱いでもある。

 自殺して転生しても、ね。

 神の生まれ変わりとして再登録されたかも。

「今、ピーンと来た!!」

 唐突に交信が繋がったきがした。



 後輩の祈りは続く。

 祭壇の隠し場所は熟考を重ねて、灯台下暗しとした。

 なんてことはない。

 乙女神の祭壇の中に隠して。

 信者の強奪に賭けた。

『悪、認定じゃないか!?』

 後輩には一応、注意したけど。

 ストレッチ中の乙女神さまがこの交信に割って入る。

『横から失礼だよ!』

 おお、礼儀正しいっす。

『おい、こら人間!!』


『人間じゃないっス、当方はエルフです』

 乙女神に対しても物怖じすることなく淡々と。

 いあ、前からたんぱくな子だとは思ってたけどね。

 この子に怖い事ってあるんかな。

『心外ですよ、当方にだって怖いことはあります! お化けとかお化けに、お化けですね...あと、お化けです』

 うん、お化けだけじゃねえか。

 教会なんかお化け出るだろ。

 同じニュアンスで、妹柱マディヤからツッコミが入る。

 ま、盗聴ではなく聞こえたのだから、うん。

 仕方ない。

『えー』

 これは筒抜けぇーの方の語尾の方。

『っつ、お化けが怖いなら、その、教会勤務辛いんじゃない?』


『心配してくれるんですか、先輩ー!』

 ラブラブ~とか吠えてたが。

 ふたりの女神に咳払いされた。

『いあ、ぶっちゃけると白いローブを着た白の枢機卿一派オバケが怖いんで、普通のアレ。ターンアンデッドで消えるじゃないですか』

 消えるんじゃなく浄化、浄化な。

 後輩のはこの辺りのネジが飛んでるっぽい。

『だから浮遊してるのとか、魂魄燃やしてるのとか、あと、魔法もぶっぱしてくる悪霊なんかも~ あんま、気にならんですね。神聖魔法が通じるんで... ぶっちゃけるとポップする経験値の塊?!』

 失礼な。

 失礼な後輩だよ。

『死者に敬意を!』

 ほら天界の主人もお怒りさ。


『ちょ、ちょ...ちょまてぇ~よ!』

 妹柱が口を尖らせる。

 今、涼んでる結界の湖の真ん中で、彼女はワカメをまとって――虚空に向けて腕を伸ばしてた。

 目撃者にはマディヤさまがご乱心を!?てなひと騒ぎになっている。

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