白の狂信者たち 2
紅の修道女の祭壇が暴かれた時。
世界にというか、人界に激震が奔った――神の秘事が暴かれた時に奔る、こう、天変地異のような。
えっと。
正しくはひとり信者の狂信的な祈りのせいで。
いつの間にか、あたしは赤ちゃんな、神さまになってた。
厳密には、あたしじゃない別の神さまなんだけど。
「え?! 赤子の鳴き声???!」
セーライムに木霊するベイビーな声音。
祭壇が薄く光だして。
ろうそくの火が天井を焦がす勢いの炎へと急成長する。
神を奉じる正教会に神罰が。
暫くするとシトシト、雨が滴る。
勢いよく泣いたら、出ちゃった模様。
生まれたてだからねえ。
仕方ない、うん。
◇
神罰には大小、様々な形がある。
あたしの場合は――
世界を灼いた魔女としての立場がある。
後輩の祭壇の方ではない。
今も廃れることにない信仰があって、多くの信者がある。
しかも最近では悪魔教や魔神、邪神教めいたもんまで紐づいてたりした。
天界に今でもあたしが居れば間違いなく、乙女神をも凌ぐ最強女神になってたかもしれない。
ま、まあいいわ、それ。
後輩の祭壇の方へ戻る。
パンツの神様がうっすらと――おいおい、アレは3歳の頃のあたしじゃないかい?
降臨なさった。
後輩はすかさず膝を突いて平伏する。
戸口にある白衣のようなローブの修道士は驚きはしたけど、嘲笑した。
「ちっさ」
神か、或いは精霊か。
生まれたての神秘だ。
天は局所的に厚い雲に覆われ、陽の光を遮った。
天界にあるストレッチ中の乙女神さえ、眉をひそめてた。
「こ、こら!! あんたも膝くらいは屈しなさいよ。怪我するよ」
パンツの神様だが、何がデキるかも未だ未知数だけども。
とりあえずは雷鳴が響き渡る。
セーライムの巫女が祭壇から跳ね飛びて、安全圏へと逃れてた。
そうやって各陣の重鎮たちは神罰に備えたのだ。
いあ。
安全圏に逃れる前に、
巫女曰く
『火に油は注がないように!!』と告げてた。
巫女の言葉なので、ソレが神によってもたらされたものだって瞬時に理解した。
それぞれの枢機卿間が乾いてたとしても、教会の重鎮である。
それぞれの祠に籠って、祈り始める。
祈ってない人は...
1名かな。
「あーこらー、挑発するなー」
紅の言葉に耳は傾けない。
「コレに何がデキるってんだよ!!!」
こうして、避雷針へ雷が落ちたのだ。
肉の焼ける匂いが祭壇に満ちる。
『なあ、紅の?』
平伏して動かない後輩。
『あたし、肉が食べたくなった』
んー。
これ邪神かな?