白の狂信者たち 1
白の派閥――白の枢機卿が統括する寮の色のこと。
他にも。
黒の派閥に、赤の派閥、蒼の派閥ってのがある。
紅の修道女は異端審問だし、蒼炎の魔女は... 魔女は何の仕事についてるんだっけ。
まあ、いいや。
とにかく。
あたしの可愛い後輩たちは教会ではわりと宙ぶらりんだった。
なんか閉まらないなあ。
こうぎゅっと、いあ、きゅっとか。
もっと腰に力を。
菊の門に力をだ~よ!!!
◇
白の派閥は巫女に関わる仕事に従事している。
蒼炎の魔女からの情報では、こうクチナシのような甘い香りがするって話。
純白で皴一つ寄らない衣に袖を通した乙女たちの集う派閥。
なんでも、年齢制限があるとかも聞く。
これも噂なんだけどね。
15歳までが属するという。
じゃあ、年齢を重ねたお姉さま方は何処へって。
「何処に行くの?」
興味深々のヒルダさんが問うてきた。
ドーセットは正教会のお膝元だろがい。
「んにゃ、住んでただけで正教会のすべてに精通してはいないよ。むしろ逆、当たり前のようにあるから見えなくなってるとこもあるし、催事のひとつ取っても意味も分からなくやらされてることもある筈で」
と、マジメに受け流された。
確かに言われてみればその通りだろう。
蒼炎のが(あたしらの)手元にあるから、正教会の秘事について問い質せられる。
まあ、目の前に胡坐をかいてもう一人。
興味深々な方があるのだ、乙女神そのひと。
祀られてる本人が食い気味に。
「で、どうよ?」
どうよってのは催事かな?
「年次を通して最大は、生誕祭ですね!」
乙女神の生誕祭。
神の座に上がった旧暦を祝うものだというのだけど。
乙女神本人が首を振って否定する。
何を?!
祝福される誕生日をだ。
「もともと神様だぞ、こっちは。天界の神の座に上がった年なんて、ねえっての!!!!!」
ああ、そんなご無体な。
いやそうだろうとは思ってたけども。
長姉である乙女神曰く。
三の女神は多くの神話に登場する、有名な女神に由来する。
運命の~かな。
未来・現在・過去や、生命や命数に根付く事などなど。
ま、とにかくも。
三女神は、神々の命数も握っているという化け物だ。
「こら、お姉ちゃんを化け物いうなし」
乙女神から張り手が。
あたしは湖面を飛沫を上げながら滑って行った。
天界では死なないけど、痛覚は確実にあるし、傷を負う事も出来る。
でも、死なない。