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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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シグルドさんたちの事情

「情報共有したいのだが――」

 シグルドさんが、共有したい相手を告げ。

 仙術のような婆さん風のゴルゴーンが、何やら呪文めいた経文を詠みだして。

 何十秒かいあ、何分か。

 これはもう感覚の問題で。

 肌感覚だと何十分も待たされた感じだが。

 心で捉えたのは、一瞬のような気がした感じもする。

 そういう感覚の話。

「ダメじゃな。世界の何処にも居らぬ」

 シグルドさんの相手と言うのは。

 あたしたちだ。

 今、避暑地てんかいで宜しくヤってる最中だから。


 うん。


 高次元に向けて交信しかけても出る筈がない。

 いや、そもそも乙女神の領域にあるので、彼女が繋ぎをしてくれるとも思えない。

 故に。

「ま、まさか?!」

 勘違いされた。

 シグルドさんの脳裏にうすらぼんやり浮かぶ、あたし。

 八重歯をのぞかせて。

 アホ、いや、もとい。

 満面の笑顔でから笑いしている、あたしが見えてて。


 死んだ?!


 そう思って、何度も尻もちをつきながら後ずさってた。

 それだけ恐怖――いや、大事なものを失った虚しさが、彼を襲ったんだと思う。

 アイヴァーさんも事情を把握して、

「糞、俺は金貨20枚貸したままだぞ!!!」

 って憤ってた。

 あー、なんかごめーん。

 そうだ、返し忘れてた。

「先輩もですか?!!」

 シグルドさんの目が光る。

 いあ、怖い方に光ってて。

「私もです! あの娘に50の貸しがあります。よくよく考えれば火炎球しか放てないポンコツが、魔導書、スクロールで勉強したいというのも変だと。今にして思えば分かるはずなのに、あ、あ、、、あの娘を目の前にすると、自分の懸念は些細な事、なんか自分が矮小に見える気がして」

 ついつい助力したくなると、彼らはそれぞれの感情を告げあった。

 まあ、其処に泳ぎ疲れたマディヤが来る。

 日向で転がると虫にたかられると、逃げてきた――。


「んあ、セルコットさんの話?」

 身体の方は立派なレディである。

 心の方はいつまでも、ちっこい少女でありたいと願う方で。

 頭は小学生男子。

「んー、実のところセルコットさんとは面識はないから、どうってはっきり分かんない。...け~ど~、乙女神の長姉よりも、次姉の魔女の方は、なんて言えばいいかなあ。あざとい、かな」

 ポンコツは計算だと言い、ありていに言えば要領がいい。

 下策だった手がいつの間にか上策だったと思わせるように仕向けてて。

 その旨味だけで転がって見せたり、道化だったりするんだという。

 おいおい、マディヤちゃん。

 あたしが悪女みたいじゃねえか。


 名誉棄損だー!!


「マジか?!」

 アイヴァーさんが『金貨20枚』って叫んだが。

「いやいや、世界をいた魔女がそういう性格だったってだけで。セルコットさんのドジっ子成分がお姉ちゃんの計算ソレとは限らないってこと。ただ、少なくとも、生まれ変わりなんだって言うんなら女神の誘惑フェロモン効果は薄いと思うけど...」

 男をたぶらかす怪電波を、女神は自在に操ることが出来る。

 あたしに出来るとは思えないけど、そんな器用なコト。


 自覚はあんだよ。

 『頂戴』って強請ると、後輩でさえ恵んでくれるんだ。

 そう、憐れむような「こいつ、可愛そう」めいた目で見られて――

 えー。

 そういうことー?!

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