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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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マディヤの細やかな休日

 休日を迎えるほど悠長はデキない身分なんだけど。

 束の間の安息地というのはゴルゴーン族のたしなみみたいなもののようだ。


 狗神イヌという追跡者がある。

 これは、痺れを切らした結社が送り込んだ、清掃人で。

 関係者の排除が目的のよう。

 人の目を遠ざけ、結界に入れば方向感覚ともに失って命費えるまで彷徨うことになる『迷いの森』。

 この地にハトが来る。


 隔絶した世界でも、情報は重要だからだ。

 外界の仲間が頻繁に、何事かあれば共有の為のハトが飛ばされた。

「島大陸の西側が被害甚大だとある」

 ハトの足に管があって。

 そこに書かれた情報は神代に使われた複雑な記号で占められてた。

 専用の解読器アーティファクトで読み込めば、1記号につき訳140文字もの文字情報が詰め込まれてて、なんなら写術的なイラストや、音声の録音なんかも出来た。どんな原理で、どうなってるかは――あたしみたいなエルフには全く理解できない。

 まあ、その記号が凄いんだってことくらいは。

 あたしの脳みそでも理解は出来たんだけどね。

狗神イヌのことだけども」

 複数の話題に関連して記載されていて。

「どうも、紫水晶アメジストの関係幹部或いは、こちらがそうであろうと踏んでた施設に、賊として強襲しているようだ」

 ゴルゴーンたちの目が当たり前のようにマディヤの方へすっと向けられた。

 その彼女も意味ありげに腕を組んでて。


「――恐らくは、本当に掃除をしているのかもしれない」

 シグルドさんやアイヴァーさんの解説の通り、魔狼族の郷抜けが『狗神イヌ』という組織を作っている。もっとも、これの補足をマディヤの言葉で上書きするのならば、狗神もまた結社の下部組織という事になる。

 暗殺請負人というか。

 まあ、そんな汚れ仕事だ。


 一応、大層な理想はあるようで。

 目的をもって動いているという。

「じゃ、情報共有も終わったし」

 と、マディヤが座してた状態からすっくと立ちあがる。

 膝に手を置き『よっこらせ』なんて声を掛けてたのは、内緒だ。

 ちょっとババ臭いんで。

「いあ、未だ報告が」

 ゴルゴーンの戦士を振り切って。

 その場で服を脱ぐ。

 中に仕込んでた水着になると、走り出して湖に飛び込んでた。

 そこは洗濯も出来て、飲み水で、身体を洗って、魚も釣れる不思議な場所で。


 魔王ちゃん曰く。

 空間魔法のいくつかには、わりと都合のいい環境を繋ぎ合わせることが出来るとか。

 おそらく避難地ってのはそういう場所のようだ。

「では、シグルド殿らと共有いたしましょう」

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