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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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セルコットの休日

 あぢぃ~。

 心の叫び、体に出る。


 一度は現界を果たしたんだけど。

 なんでかまた、

 あたしは天界に戻ってた。

 色々諸事情はある、諸事情はあるけど...

 最もたる事情は。

 現界した場所が悪かった。

 北欧にて大暴れをして、過ごしやすかったのもあったんだよ。

 これが一番だけど。


 例の島大陸に戻ってきたら、さ。

 クソ熱い夏季に入ってやがった。



 ミロムさんに、ヒルダさんから。

「現界してどうよ?」

 的な訝しげに問い質され、ありのまま正直に。

「マジか!!」

 島大陸はこの星の南側にある。

 季節柄、これから夏季まっさかりになる頃合いなので。

 やつれた表情になるのは仕方ない。


 島大陸の中央部は、平原と湿地帯が広がってた。

 と、すると。

「高温多湿か」

 魔王ちゃんが呟き、後輩二人が呻くように項垂れた。

 これが経験者の姿。

 湿気が半端ない。

 まとわりつく空気に、下着が肌に密着して動きに束縛感がある。

 こう、さらっとした空気の地域に行きたい。




『で、何? 避暑地代わりに使おうってこと?』

 ひと段落ついた乙女神が床に直、座りしている。

 ストレッチだという。

「あん」

 可愛らしく答えてみた。

 ま、これでどうこうしてくれるほど、神さまが優しい訳じゃないんだが。

『いつかは帰るんだから、今のうちに慣れてた方がよくない?』

 そりゃそうだ。

 理屈と... 我儘を正そうとしてくれてる神の善の光は白く、眩い。

 こんなダメなエルフに向ける優しさでもない気が。

『そりゃ、かつては可愛い妹だからね』

 今は可愛くないと?!

『その片鱗はどこにもない。むしろ、憎たらしく思えてくる』

 んー。

 姉に対する敬う心が足りないまで言われた。

 元の魂にもともとない要素のような気がするけど。

 そこは、あたしの胸の内にそっと仕舞っておく。

「ほら、高温多湿の中に魔王ちゃんを放ると、暴れるかも?」

 魔王ちゃんほどの実力者を出汁にする。

「え? わたし?!! わたしなら大丈夫だけど???」

 ん。

 んん...

 暫くあたしとマジのにらみ合いにあって。

 彼女がしょんぼりしながら、折れてくれた。

 魔王ちゃんは悪くない。

『ぢゃあ、特別、あそんでいっていいよ』

 言質をいただいた。



 あたしたちが避暑地に引き籠もる頃。

 もう一人の妹神の周りがざわつき始める。


 紫水晶アメジストの最後の幹部の細やかな抵抗ってヤツだね。

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