ここから、今、伝説がはじまろうと 2
そんなん簡単に解消されちゃダメなパターンだ。
英雄の名はヒルデガルド。
親指穴の開いたブーツの戦士、ヒルドルブが末娘のヒルデガルドって流れの紹介に。
父親はどこかの村に駐在してた武官らしいけど。
彼女の母に種を植えたら、消えてしまったという。
「親父、ろくでなしじゃんよ!!」
後輩ちゃんも足をぶらつかせて参加。
お爺ちゃんも、師匠も『碌な奴じゃないな、それ』とこぼして。
魔王ちゃん。
「ま、女戦士の戦士団に種づけの為に回されたら、長くても3日くらいしか滞在できないだろうしね。うん、まあ、ヒルデガルドちゃんにはいい思い出だけが残って良かったと思うよ」
ん?
「いい思い出?」
みんなソコ、聞くよね。
頷く魔王ちゃんに、対照的な一同。
女帝の喉が鳴って。
「やや大きくなった末娘のヒルデガルドちゃんが父親にもう一度会ったのは、食卓の皿の上。絞るだけ搾り取ったら太らせて、皆の腹の中に――」
うわーっ!!!
思わず堪え切れなくなって、あたしが叫んでた。
引くよ、引きます。
引く、引く、引くー!!!
ダメだって、食べちゃったとか言わないで。
辛くなる。
てか、人食反対!!
「アマゾネス族は、ラミア族と大差ない魔物だからなあ。乙女神にリソースを分けてもらって、ゴルゴーンの連中の同格、異母姉妹的つながりで飼育中なんだよね」
どこで?
「いあ、魔界で。ほら、魔王ちゃんとか呼ばれてるから、半世紀前にさ、いっちょ行ってみようかなって。魔界っていう召喚する元世界へ行ってみたわけよ、めっちゃ大歓迎されちゃって」
エルダーク・エルフが好意的なのは、その関係上のせい。
新設された第4魔界領の領主代行たる官吏が横暴だったのもあって、魔王ちゃんこと。
セルコット・オルタは、天になり代わってこれを成敗した。
以後、新領主として祭り上げられたという。
いあ、それは...
国盗りでは?
「そうともいう」
まあ、自由にできる領主となって以降。
アマゾネス族の管理に精力を注ぎこんでいるという。
「じゃ、じゃあさ」
ヒルダさんの淡い期待。
ベースは彼女だが、ヒルデガルドという少女?か、女性がいるってこととか。
「いないよ、今はね。伝説の女戦士だから、意思疎通が『うー』とか『がー』しか言葉にできない生まれたての魔物に何を期待するかな。いつか、この物語を刷り込ませられるよう、今のうちに豊かに創作しておくのさ!!」
なるほど、これが管理か。