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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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にゃはは~ 落ちろ、落ちてお願い 5

 天界にそれとなく壁をこさえた、あたし。

 自作の壁の隅で、すんすんと鼻をすすりながらせせり泣く。

「ちょっと、うるさいよ」

 乙女神の執務室からは衝立ついたて半分から見える程度のいやらしさ。

 ヒルダさんに乱暴されて泣いてのと。

 タダ働きが悲しくて泣いている分と、気分と雰囲気で泣いていた。

 こう、女々しいと。


 ツカツカと、ブーツの音が。

 この大股は、アレですね――ヒルダさ、いあ、違ったお爺ちゃん?!

「剣の稽古をつけてやる」

 え?



 天界では、多くの魂が避難してた。

 原因は明白だけど。

 神はコレを伏せて『すべては魔神の仕業である』と説いて回る。

 いや、そういう強引な内容でギルドの賢者を動かした。

 天界と、現界の両方から魔神を倒した英雄を称えよってノリにしてある。

 まあ、そんな流れなので。

『人々の記憶は操作する』

 おっと、問題発言ですね。

『セルの召喚んだ小惑星のひとつだけど』

 ひとつしか呼んでないけど?

『中央アジアに落としとく。途中で砕けて、いくつかの気になる()()()()()の頭上を脅かし、吹き飛ばして掃除できれば御の字。仮に生き残るほどのしぶとさがあっても、200年、300年もすれば力も衰えるでしょう』

 神の目でみる別の世界かな。

 それはそれとして。

 あたしの功績は?

『だから、あなたが堕とした石ころのせいで、国がひとつ...いえ、ふたつ滅びるんです』

 ええ。

 せいっても、直接的な関係はそう、多くないと思うんです。

 優しく微笑む乙女神。

 かつては“お姉ちゃん”と慕ってた人。

 彼女が、執務室から見える中庭を指さして――『あれが難民ですよ? あの魂がもう一度肉体を持つかの瀬戸際だとして、、、、セル、あなたはどうしますか?』――どうしましょう? 事実を知る目撃者は多くない方がいいと思います。

 我ながら人でなしだと思う。

 魔王ちゃんでも言いそうな気がする。

『前々から思ってたんですが、実妹ながらあなた、クズですね!!』

 どっこいだと思います。

 セクハラされたから、一掃したいって持ちかけるのもどうかと。

『人聞きの悪い。そんなストレートに口にしたら身も蓋もないではありませんか!! そこは大人対応でオブラートに包みながら、ゴミはゴミ、片付けないと異臭を放ちますって感じです』

 いあ。

 言い方。

 包んでもねえし、セクハラの方が理由としてはマシな気がする。



 ただ、神としても。

 世界に英雄という超越した新しい秩序と、勇者召喚にかかるコスト削減のために。

 目撃者はやはり多くは残したくない。

 ついでに言うと、英雄の持つスキルは継承が可能という点以外は、とにかくローコスト。

「セルの徳を担保に、ヒルダをベースとした13人目の英雄を用意してくれないか?」

 フラつく魔王ちゃんは滅多に見たことがない。

 しばらく揉みしだかれて弄ばれてた。

 楽しんでたヒルダに天罰も与え、恐る恐る近寄ろうとしてた後輩にくぎを刺したとこだが。

「今、なんと?」


「セルの徳だ、徳。実は相当あるんだろ?!」

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