にゃはは~ 落ちろ、落ちてお願い 3
取り乱したけど。
目を凝らして、じぃーっと空を見つめてると。
ほら、ほらほら見えた!!
見えたよ!!!
来たんだ、さあ、こっちだ、こっち。
あたしが召喚んだ星だ。
落花生のような形状の隕石――あたしがちょっかいを掛けなければ、この星に寄り道することもなかったものだ。神の賽はそんな天体のひとつさえ呼ぶことが出来る。
改めて考えると恐ろしい奇跡じゃないだろうか。
使ってるあたしの言葉じゃないよな。
これは軽々しく分かってるなんて言えないな。
「バカ! デカすぎる!!!」
魔王ちゃんも気配を感じて首がへし折れるんじゃないかって感じで見上げてた。
釣られた、乙女神も。
『こんのバカ娘が!! わたしが削るっ』
え?そんなに大きい。
昔よりは少し自重したのに。
◆
――気が付かれた。
いや、気が付ない方がおかしいかもしれない。
この隕石に魔力はないけど、質量がケタ違いに悪質だ。
そこに殺意が乗れば、まあ。
“モーォォォォ!!”
嘶きかな。
奮い立たせるような気合のような。
モーさんが吠えた。
口から破壊光線の一閃。
高周波の耳鳴り、大気を貫く光、燃えてる最中の肉体。
モーさんも一部が崩壊して、原形をとどめてもいないのに。
およそ本能的に全霊を込めた砲撃としているようだ――その証左に、今、高周波で身体が振動している中、ボロボロと肉片が飛び散ったり、砕けて行ったりしている。
クリティカルヒットした、あたしの火炎球のせいで。
魔神にまで堕ちた神の残滓でも。
「腐っても神だな」
女帝がぽつりと零す。
敬ってはダメ。
崇めてもダメ。
祈っても――魔神まで堕ちたアレが力をつけてしまう。
「それはどういう?!」
『隕石が砕ける?! だと...』
いあ、モーさんの咆哮では表面が砕けるだけだ。
たぶん今のままでは2射目は難しい。
邪神教徒の者たちも瓦礫の下だから、祈る者はいないだろうけど。
「2射目は難しくとも、星が落ちてきたらここもタダでは済まぬ!!」
落花生のような隕石がふたつに別れたら。
うん、あれ、割れる。
なんとなくそう感じたのあたしだから、きっと現実になる。
あちゃあ、やっぱりね。
あれだ。
これが因果応報。
とびっきりの奇跡で邂逅するはずの無かった隕石を呼んだ。
質量兵器の極みだが。
「神の賽だったか?!」
あたしの手から賽を分捕って、手にする魔王ちゃん。
だけどすぐに手放した。
「この賽、今、触れた私から運命数を吸いやがった」
運命数?
何それ?