モーさん、動く 5
故の星落としと、希望にされたけど。
これが真に効果的化は未だ未知数の域だ――理論上、あたしは覚えていないけど。乙女神がまるっきり記憶しているというので、しばらく時間を止めて解説してもらった。
世界の時がが止まったわけじゃあない。
士気が削がれない程度の刹那な時間だけ、まあ、数分。
『数分だけ、無駄な時間を神さまにください』
と、のたまったような細やかな遊び心。
その数分間は砲撃も止んでしまっている。
はい、カウンターがリセットされました。
何のカウンターかって?
そりゃ蓄積ダメージと、次に必ずクリティカルになる攻撃カウンターのこと。
あたしは――
難しいことは分らんので。
ミロムさんのしがみつきから逃れて、結界めいた球体の陣から抜け出し。
おっととと、と。
ちょっと躓いたけど。
「ま、一定値の攻撃ダメージね」
与ダメ管理はソロでも必要だ。
致命的な攻撃というと、スリップダメージというタイプかな。
攻撃魔法の中では一撃の重さはCTが長い。
直撃すれば致命傷ってのも多いんだけど。
それだけってのもある。
当たれば致命傷だけどホーミングされない限りは、同系統の魔法で相殺させる、或いは詠唱の邪魔をするというのが対抗手段で。やや荒っぽいけども発動した魔法を、アンチスキルで殴り伏せるってのがあるかな。
昔、そんなことをヤッテ見せてくれた冒険者が居た。
すごいことをしたんだけど、流れ矢に当たってあっさり死んだ。
ま、それはいい。
スキルがどんなに優れていても。
「サイコロの出目は“4”のぞろ目か、これだとクリティカルは2割増しかな?」
ぽつりと呟く、あたし。
サイコロは宙にあって、良く転がりそうな丸っこく年季が入った色になってる。
これ、こんな色は元からだけどね。
「じゃ、火炎球いっくよ~!!!」
火炎球しか唱えられない体質だから、その詠唱は脳のどこかにはっきりと刻まれてある。
無詠唱に見えるけど空で暗記したようなもので。
イメージ通りの球体になるまでにブツブツ唱えてた。
そら、見るがいい。
星落としの前の前戯のようなものだけど、これでも食らえ!!!と叫びながら放り投げてた。
バットがあるなら打ち返してみろ、とか。
そんな下品なことを考えてた時期もありました。
◆
ふいに想ったんだけど。
あたしのイメージは鋭く落ちるカーブのような球種を意識して――
飛んでいくと思ったんだけどね。
これは、あれだ。
なんだかゆっくりとフラフラしながら飛んで行ったよ。
火炎球の表面温度が幾何かは知らないけども、
誰かの頭上を掠っただけで「あちぃ!!!」って叫ばれる件。
火の粉が落ちただけ、辺りがボヤる件。
詠唱終わったあたしも汗だくな件。
どゆこと?