モーさん、動く 3
あたしたちの漫才、コントはどうでもよく。
ウネる触手を生やしたモーさんが動いてる――サイズがサイズなので、動きがゆっくりに見えるけど。
これが数十メートル動くだけで。
這ってるようなイメージなのね。
こうプチプチプチと、何かが弾ける音がする。
前にもこんなくだりでしたね。
人が潰されている音ですよ。
今は、イス王家の軍が目の前から必死に逃れようとして、戦ってるとこです。
◇
仕方ない。
「何をする?!」
魔王ちゃんの察しの良さは。
あたしとつながってるからだが。
「ちょー! 待て待て、待つんだ、セル」
肩を掴まれ、その場で膝かっくんされた。
これはマジで視点が2つ下がる気分で、気持ち悪いというか。
「へにゃあ!!」
「おお、見事な膝かっくんだ?!」
女帝の吹き出し様。
時々、姪っ子の身体から乙女神は出て行けって、呪いのような言葉を吐いてるが。
この人は普通に、ふつうのエルフだった。
「膝がーっ、膝がー!!!!!」
「ミロムが戻るまで火炎球を放つな。戦場と、本陣の間にいるんだ! 星落としみたいな大技は、巻き込むものが多すぎる」
英雄たちの事もあるし、足止めの兵士は――魔王ちゃんにとって勘定じゃないらしい。
巨大な火炎球は呼び寄せるのに時間がかかる。
こいつはイメージじゃないんで、魔法と括るよりも召喚にちかいものだ。
神の賽はギャンブルだ。
調子に乗って連発すればツケは必ず払わなければならない。
例え、元世界のひと柱だったとしてもだ。
そこは真理から外れることはない。
で、星落とし。
「何なのだ、その凶悪ないや、狂ったネーミングは?!」
乙女神はもちろん知っている。
妹神がいや、世界を灼いた魔女が天界と現界の同時攻撃として使った召喚魔法。
――の、超、超広範囲襲撃魔法。
サイコロ気前よく降ったら、クリティカルの12連続となって、やらかしました。
ほんとはね。
天界だけに堕とす予定だった。
乙女神のオーダーは、下種な老人がいっぱい居て、イラっと来たって話からで。
いあ、そのくだりはいいか。
モーさんも灼かれた側ならば、これはトラウマものじゃないかと思ったわけ。
ふふ、召喚んでおいたんだ。
近場の星屑はかなり前に使ったから、時間がかかったけども。
これでかつる!!!