乙女神曰く、さあ、狩りを始めましょう 5
「「「いやあああああああ」」」
魔女たちの発狂したような声音が叫びに似て鼓膜を振るわせた。
甲高い声をありがとう。
お蔭で耳がキンキン鳴ってるよ。
冒険者ギルドによって、
世界中からスペックの高い戦闘狂どもがかき集められた。
ひとりでも、まあ。
伝説になりそうな戦果を持った稀有な存在で。
こうした人外、規格外なタイプは普段から信仰心が高いのでパスが繋がりやすい。
神のぱぅわ~を注ぎ込むなら、異世界勇者なんかよりもよっぽど浸透率が高いし、ローコストだけど。
触手に絡められて、ぱっくんちょされたら。
魔神のエサにしかならないだろう。
『おやつ、かな』
ひどい。
あたしの呟きを、魔王ちゃんが棒読みする。
えっと、読まないで。
『酷かぁないよ~ それは事実になる。信仰で加護が入ってる、バフが常に身体に馴染んでる状態だから、この世界で英雄だと呼ばれた種族たちは、かつての半神にちかい存在に。それでも魔神に抵抗出来る程度で爪楊枝でチクチク刺してくるもんと一緒』
いっしょって。
それ、地味に痛いじゃん。
『そ、痛いからイラっとする。今、足元に置いといた“ノル・ファールン”王国の侵攻軍と、“ブレーメル・イス”王国の邪悪なる軍団をひとつ鍋に放り込んだから、さ。ちょっとは足止めになると思うんだよね』
ちょっとは?
「未来視!!」
千里眼の上位スキル。
千里眼を使いこなせば、千里先を見るだけじゃなく予知夢のような。
ほんの先の時間も見ることが出来る。
殆ど未来視と同じだけど違うのは1分先か、1時間とか1日くらいのスケールになると別ものに。
『足止めの軍隊は、そうだね。チクチク痛いだけの健康器具みたいなもんかしら』
分かんないけど、分かったような気がする。
いあ、あたし以外は理解してた。
各々で難しく険しい表情になって苦悶する。
正直、魔神は動かなくてもいい。
これは最悪という言葉がついて、だ。
攻撃方法が咆哮による破壊光線だからで、対象まで近づかなくても遠距離も攻撃できるからだ。
じゃ、なんで『足止め』なのか。
ロウヒが自らの幼い胸を張って、
『わたしが居るからだ!!』
ロウヒが。
『いやいや、わたしだ』
ん、ロウヒ、幼女、ロリコン!?
『違うだろ! わたしだ、わたし!!! 神が降臨してるんだから、ここ(その場で地団駄が、ちょっと可愛いらしく見えた)、ここに来るんだよ。だからちょこっと離れた場所にした... セルじゃないけど乙女神も触手は好きになれないからな』
いや、誰も彼も好きじゃないでしょ。
...ん、んん? いあ、違うな。
パンツ剥がされた、あたしはトラウマだけど。
こう巻き付いてきて適度な締め付けの感覚、触覚は絶妙だったようにも。
それがイイって好事家はゼロとも言い難い。
あ、いるかもな。