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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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厄災の魔獣と、13英雄たち 8

 島大陸では、深刻な状況になってた。

 いあ、世界はひとつの円のようなもので。

 例え陸続きでなくとも、どこかのタイミングで様々なことが起きている。


 理不尽なこと、などなど。


 あたしたちは。

 物凄く楽観視してたのかもしれない。

 例えば。

 あたしたちが物語の中心で。

 舞台裏では物事が止まってるもんだと思ってた。

 いあ、違うな。

 あたしたちが関与しなければ、それがクローズアップされないとか思ってた。

 でも違った。




 救助された魔王ちゃんは彼女()()()もなく。

 急にぶわっと涙を流して咽び泣いた。

 唐突なことで、皆、唖然とした。



 如何した?と、女帝陛下から問われ。

 彼女に事の顛末を包み隠さず話す決意をした――終焉の魔女がなぜ、必要なのか。まさに彼女の姪っ子、ロウヒにまつわる話だし。狂気の魔女プロジェクトは、そもそもの発案者たちだからだ。

「なるほど、それは無計画にもほどがあるな!!」

 女帝は憤りを顕わにして見せたが。

 控える賢者は肩を落とす。

 同じ卓上の末席にあるんだけど、卓にそのままのめり込みそうな。

 そんな形状で溶けそうだ。

「どうした、賢者よ?」


「そうです、賢者殿は如何?! もしや!!」

 気づかれましたか、と。

 声でも掛けようとした。

「お腹が痛いのか!!」


「ちがいますっ」

 怒気に殺気すら乗せて返答。

「違いますよ、お嬢さん方」

 若い女の子に見られて――

 女帝、魔王、魔女の三名が頬を朱に染めた。

 字面に、絵面、それぞれのパワーからして怖い()()()だと、あたしは思うんだ。


 この場合、人畜無害な。

 あたしの方が可愛げと、可憐さにちょっとのドジっ子要素もあって、女の子らしくないですか。

 あ、はー。


「よ、よせ。冗談は... 兵士が見ておる」


「見てませんが、冗談です」

 ――賢者は、殺されそうになった。




「っ、一言、何かヤる前に相談くらい... して欲しかった(痛っ」

 外見がジジイの不老不死を得た身だけど。

 冥土が一瞬でも見えたのは、この失言の時のみだ。

 肉体が消し炭にされたら復活のしようが無いし。

 魂ごと焼かれるんじゃないかって恐怖も感じた。

「現在進行形で、ノル・ファールン王国は侵略戦争を遂行中です。北方の越境には失敗したとはいえ、目と鼻の先の西の海岸線には、上陸してしまった後でもあります。まあ、誰が差し向けたのかグリーン・キリングヤシガニの群れが突如出現し、大いに暴れてくれています...が」

 そんな野生動物の物量も。

 長くは持たないと賢者は付け加えた。

 確かに。


 一寸の動揺は発生させた。

 とはいっても、凶暴なグリーンに、レッド、クリムゾン・ビッグクラブなんて魔獣も呼び出されてるけども、討伐後の食糧事情が解消されてしまう厄介さがある。

 レッドの方は、まあ。

 普通に調理すると死者がでる魔物なので、暫くは食当たりも含めて時間稼ぎにはなるだろう。

「浜辺にカニは不自然なのか?!」

 と、魔王ちゃんがしゅんと萎れた。

 うん。

 やっぱりキミか。

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