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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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厄災の魔獣と、13英雄たち 2

 連邦の王都“アルハンゲリスク”に設置された、冒険者ギルド。

 世界が魔女にかれた後に、魔女や魔獣に怯えて暮らす者たちの寄る辺にと。

 預言者や託宣者などの賢人によって生み出された、情報共有システムが――冒険者ギルドである。


 冒険者と呼ばれる協会員たちによって。

 時に地域の不安を解消したり。

 時に情報収集したり。

 時に魔獣や魔物の討伐を請け負ったりと、様々に活動している。

 システムとして機能し始めてからは、地道なロビー活動によって不動の信頼を得たのだけど。

 国によっては便利なサービスくらいにしか考えていないトコロもある。

 今だに、だ。




 アルハンゲリスクのギルドだって。

 ちょっと物知りな職業斡旋組合くらいに思われてたが。

 世界評議会だと、自らをそう説明した賢人まで下界に降りてきたら、連邦の首脳陣も無下にできない。

 なんだろうねえ。

 神様でも見てるような、間抜けなツラァしてたと思うよ。



 ギルドの概念は“乙女神”によってもたらされた。

 彼女の方も、体よく使える組織が欲しかったのが本音で、側近中の側近天使たちが下界に降りて――

 組織の賢人、世界評議会の老いることない人間ってのはそういう始まりがある。

「我が名は...」

 言いかけて、賢者が思いとどまった。

 ここで告げても記録が残るわけでもないし、とか。

 記憶にも残らないなと、判断した。

「評議会の者である。こうした厄災には当、ギルドが請け負うことになっておるのだが、まさか1200年も経過しているというのに未だ、浸透していないのか!!?」

 唐突に表れて、勝手に失望している。

 最初こそは天上人くらいに神々しく、恭しく奉じてた首脳陣だけど。

 あからさまに貶されたら誰だって怒る。

 部族長である前に、国家運営の首長なのだし。

 高いプライドがあるから、互いに譲らないのだ。


 そして、戦争になった。


 適度なプライドは重要だけどね。

「1200年? 知らねえよ、そんなの!!!」

 若い人狼が吠えてた。

 まあ、諫める首長は無いし。

 煽るような者も多かった。

「まあ、いい。お前たちが討ち取るつもりでいる魔女ものについて語ってやろう。――今よりも多くの勇者せんりょくが必要なこともこの場で告げる。我らが遺しギルドのネットワークを使い、各地に呼びかけ、世界の危機に対抗するのだ!!!」

 ちょい話が大きくなった。

 いつしか冒険者ギルド主導で、狂気の魔女対策が掻き消えて。

 世界を滅ぼしかねない“厄災の魔獣”討伐へと導かれてた。

 おやおや~?



 その日。

 久しぶりにあたしの意識が天界へと導かれてた。

『いつでもどこでも、厄介ごとの中心にセルちゃんが居るのはどういう事なのかな?!』

 乙女神のこう、口の中にごもごもした雰囲気の声音が。

 なんか食ってるときに召喚を?

『食事中、いいじゃん。話し相手になってくれても』


「いあ、あたし寝てたんだけど?」

 起こさないでほしい。 

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