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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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狂気の魔女、討伐依頼 5

 ハイランド王国・宮廷魔法使いが所属する“魔術塔”。

 軍師も兼ねる賢者の代わりに、選抜された塔のサブ・マスターは項垂れたように馬上にあった。

 ヴァーサの契約更新で留守にして。

 指折り数えるサブマス。

「ちょっと帰ってきてくださいよ」

 悲哀の叫びが空しく木霊してた。



 さて。

 王国は建前上、連邦の呼びかけに応じた。

 連邦・辺境伯へは万騎兵が投入されてある。

 大きな角を抱える戦鹿の千騎兵と、普通の軍馬で構成された騎兵たち。

 併せて万になる主力だ。


 歩兵たちは、国内にて守備。


 こうして北欧の三雄はそれぞれの思惑の範疇で、行動を開始したのだ。



 海岸線を奔り抜けた一群は騎馬だった。

 補給線を考えると、長蛇となって糧秣を守る兵とかも必要になる。

 それでは本末転倒だ。

 そこで海軍元帥は一計して――。

「騎行戦術だと?!」

 騎士や戦士たちから驚愕の声。

 目についた拠点を攻略できるのであれば、蹂躙だけする戦術行為。

 占領に割くリソースを極力払わないし、略奪も視野に入れた野蛮なものだ。

「――恨まれるのは百も承知だが、それでなければ挟撃に間に合わぬ!!!」

 無事に海岸線を抜けきれば、上陸地点で十分なケアが受けられるが保障のような言葉に聞こえた。

「そんな褒章ケアで兵を説得しろと?」

 噛みついてた騎士も、今は海岸線を奔ってた。

 狂気の魔女というイレギュラーの出現で平和活動しているであろうと踏んで。

 虎の子の騎兵団は。




 巨大な腕で大きく海側へ払い除けられていた。




 急に空が暗くなった気はした。

 まあ、それでも太陽が厚い雲に隠れたようなものという認識だったんだろう。

 砂浜の上を噛む音くらいしか聞こえなかったのも。

 今にして思えば不自然だったかもしれない。


 見上げると、目がみっつの?

 いあ、目はふたつで額に輝く宝石を持つ巨石人。

 ストーンゴーレムの...

 えっと、こんな大きな魔法生物って何?!


 嗚呼、馬と人がゴミのように海へ吸い込まれていった。

 二度目のは払い除けられるんじゃなく、振り下ろされた拳で叩きつけられてた。

 再び、人がゴミのよう。

 散り散りになって飛んで行った。


 さて海岸線の丘の上にぞろりと現れる騎兵たち。

 まあ、その奥には辺境伯の魔術師団があるんだろう。

 一度は領内を離れるように見せたうえで、取って返して深い森の中に隠れてた。

 一握りの斥候たちで機会を伺ってたんだとしたら、気の長い追跡だったのだろう。

 さてもう一撃というところで――


 魔力切れ。

 巨石人はただの巨石へと戻っていた。

 ばらけた巨石に見覚えがある。

「海岸線のソレか!?」

 背景に溶け込ませるために、石切り場から幾日もかけて運び込んでた。

 最初は海岸線まで防塁を築城してコレにあたるべしって声も大きかったが、ヴァーサにある賢者がひとつひとつ丁寧に説得していった結果だ。

『よし! これで挟撃は免れた!!』

 連邦の空にあったカラスが。

 ヴァーサと連邦辺境伯領の国境線で羽ばたいていた。

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