あたしたちは、目立ちたい 5
あたしの特攻は女帝陛下の承認により、一応、バイトとしての体裁は保っている。
“エルフを迫害すると、狂気の魔女が来るぞ”
これは大きなネームバリューとなって、少なくともハイランド王国に『仲裁』という依頼が発生するまでに育ってくれたのだけど。ここでひとつ問題がある――ゆかいな魔獣団という副次的産物のことだ。
別にあたしが率いているわけじゃないし。
テイムとかヤてるわけでもない。
勝手に何処からともなく湧いてきて。
多種多様な動物園に成長した。
あたしの恩恵は、
あれだ。
狂気の魔女の眷属が総てを喰らうぞって。
泣く子、悪戯っ子を諫める時に使うようなストーリーが根付き始めてて。
エルダーク・エルフ小隊とミロムさんたちには、食料として大いに役立ってくれた。
「これ? コカトリスでしたっけ...」
大腿部の肉を豪快に特製の塩釜焼きにしてみた。
筋肉質で硬そうなイメージがあったんだけど、いや、これはなかなか。
「それキメラですね。自然繁殖したっぽいようですが。こちらの胸肉は鳥と大差ないみたいです」
そうそのキメラ。
ミロムさんの舌を唸らせるのに十分なジューシーさで。
腹部のハラミは程よく脂が乗っているとのこと。
生活魔法の弱火でチロチロと炙って平らげてた。
肉ばかりではバランスが悪く。
エルフたちの嗅覚で、
森の中から植物系モンスターを討伐。
「アルクダケの亜種、エリンギをゲットしましたよ。あとは、邪眼キャベツに300(スリーハンドレッド)レタニオス...」
「れ、レタ? え?」
300レタニオスっていう葉物野菜。
徒党を組んでるように見えて、地中深く根で繋がったレタスのモンスター。
中心の大きな一株が司令塔になって、一糸乱れぬ集団戦闘を組んで攻撃してくるので。
まあ、英雄レオニダスにちなんで。
エルフが勝手に命名した、シルバーチョーク冒険者でも苦戦するらタスである。
邪眼キャベツは。
あたしも好物な野菜のひとつで、こどもの頃はよく採集にいったもんよ。
焼かないように採集するのがムズいだけで。
気を付けることは、邪眼によるスタン攻撃を貰わない事。
これさえ気を付ければ...
あれ?
あたしは貰ったことないか。
スタンっても親株じゃなければ、しびれる程度だった筈。
「痺れる?!」
「いや、痺れる程度なのは耐性があるか、一度貰ったことのある狩人だけですよ。親株の方は“石化”させにくるんで気安く取りに行けるモンスターではないですけど、これがですね!! 葉を湯にくぐらせると青くなるでしょ?」
ミロムさんがキャベツの葉を毟ってる。
これの壱枚を湯にくぐらせると確かに青くなった。
キレイな緑色だ。
「それで齧ると、甘いんですよ!! 芯に近いところに新鮮な邪眼があって。こいつは蒸してよし。焼いてよし、煮込んでよしの蜜の塊でしてね」
蒸した芋のような触感があった。
ああ~
あたしも食べたいよ~