あたしたちは、目立ちたい 2
さて漠然とした問題だが。
「目立つってのは、どうしたらいいんだろう?」
よし、主題だぞ。
さあ、意見を聞かせてくれ。
「とりま、ハイランドの悪評にしましょう。かの女帝はエルフを殺されて怒っているのだと」
流布でもよさそうだけど。
すでにそうした跡地がある。
これに尾鰭をつければ勝手に。
「そうでもないですね。あれだけの高火力の戦場から生き残ってとなると、とてつもない幸運の持ち主だって言ってるようなもんです。噂を流布する意図が丸わかりなので、ハイランドの沽券... たぶん再起不能になるかもしれません」
アレは、どこの国も手柄にする気はないというのだ。
爆心地にあった種族は間違いなく絶滅まっしぐらだろうし。
口の葉に乗せたくも無いだろう。
ん?
それ、なんか不味くね???
◇
あたしの細やかな戸惑いを汲む小隊長。
「――ですから女帝が釘を刺したんです、あなたは自重を知らなければならないと。何でも高火力の火炎球でOKという考えを先ずは、改める必要があります。ただし、これに変わりが出来るエルフは現状、あなたしかいないのも事実、分かりますか?」
エルダーク・エルフでもいいのでは?と思った瞬間に、そらされた気分だ。
彼らは堕天騎士の従者で、ハイエルフの別側面のある種族。
忌避された属性の魔法を好んで使う者たち。
バッチリではないか!!
そう思った。
だから。
いあ、小隊長がアスパラを横に振った。
「火炎球の魔女は、この大陸においては無名です。...誰も知らない、他の大陸は知りませんよ、もちろんね。あの島大陸に出稼ぎに来てた者か、或いは冒険者ギルドで『噂』の管理がなされてた場合。我が小隊がセルコット嬢に成り代わって言い触れて回ったとして... もう理解できましたか?」
いいや。
ミロムさんが耳の傍で。
『セルの名を騙るダーク・エルフが捜査線上に上がるだけ』
ん?
ミロムさんは徐に俯いて、顔を影に落とした。
こりゃ、呆れちゃいました。
あたしは。
オツムがちぃーと緩い。
こら、下も緩いとかいうな!!
と、いうか難しく考えると頭が痛くなるので、考えるのを止める傾向だ。
直した方がいい癖だって分かってるけど。
ふん、其れも諦めた。
ぜんぶ、ぜーんぶ、捨てたのさ。
はればれ~
だ~か~ら~、教えて?
「これが、魔王さまの... その、本来のお姿なのですか!!!」
小隊長がミロムに詰め寄っている。
いあ、彼女は知らんだろ。
「ちょ、ごめんなさい。財布に穴が開いてると同じように、ちょっと弱い子なセルしか私は知らないので。魔法学校に通ってた時、通う前は...たぶん、反転している方に聞いてください」
ま、まあ、そうなるだろ。
あたしは~
自身で考えるよりも、手が出る行動派で。
ヤらかしたら言い訳するよりも、逃げることを優先するタイプだ。
うん、最悪にダメなヤツだ!!
今、自覚した。