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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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あたしたちは、目立ちたい 1

「あれ? 結界が遮蔽モードになってる?!」

 そこに気が付いたのは、結界製作者のあたしで最後だ。

 すこし前から相当な時間がたったのに、結界を解く瞬間までまったく気が付かなかった。

 まったく、だ。


 呆れてるのはミロムさんだけ。

 声に出さなければ、まだ可愛げもあったろうに。

 そんなところだろう。

「小隊長さん、どういうこと?」


「謎の軍であると誤認させるためですな」

 目立つためのお仕事だった筈で、えっと、ごめん。

 話の流れに追いつけない。



 カラスは暫く自由に空を飛んだ。

 戦場の跡地では、何者かが転移し、去った後も火の精霊の力が増しているので。

 調査目的で近づく事がままならない。

賢者ちちにいい処を見せたかったが、これではこちらの翼が燃えてしまうな》

 精霊を介して断片的な目撃談は、去った後から届いた。

 戦場は激戦で、多くの精霊が魔法使いや妖術師たちによって使役され活躍した。

 しかし、そうした栄光の場が突如として、炎の神のようなものに飲み込まれた。

 火の精霊はその神の眷属だという。

《アホか?!》

 術者さえも巻き込む圧倒的な熱量だ。

 いや、御伽噺で知る伝説がある――賢者ちちが寝かしつける時に呟いてくれたものだが。

 世界を灼いたエルフの魔女の話だ。




 エルフはまあ、温厚だ。

 怒らせても怖いというイメージはないが、それでも短命種の間には。

 森とともに住む者たちを怒らせると、すべてを焼き尽くすんだとか、或いは飲み込むんだって話す。

 これは子供たちの戒めや躾けに用いられる言葉だけども。


 エルフが温厚なのは、恨んでた者がふとした瞬間に死んでる時期ときが多いから。

 根に持ってもしかたないってライフサイクルの違いからだ。

 癇癪を起すエルフだってわりと多い。

 半世紀後には仲直りしてることも。

《どうする? 火の精霊を操る者を探すか?!》

 判断に迷ったときは。



 朝食を女帝とともに採った、賢者の強張りようは。

 もう生きた心地がしない。

 王宮にある時は、ささやかな悪戯も多めに見てくれるものだが。

 彼女、女帝の前には喧嘩王の孫娘もあって。

 涙目だけども――「いいんじゃない? 王国うちで飼うんでしょ、この?」と、快諾はもらえたけど。

 肩の荷が下りた気はしない。

 いっそ、肩の荷が増えた気さえする。

「あ、そうそう。賢者あなたにも紹介しておきたい娘があるのよ」

 ほら、きた。

 そう、賢者は胸中で神に祈りをささげてた。

 どこのだれの神様かは内緒だけども。

 世界に喧嘩を吹っ掛けている秘密結社の幹部でも祈ることはある。

「えっと、この子がちょっと離れた姪っ子の“ロウヒ”で。...っ、あんたはどう言えばいいかしら?」

 黒髪にも見える禍々しいオーラ。

 一応、金髪に右横髪に白い毛が混じる、ショートヘア―な褐色のエルフ。

 一瞬であればそんなところだが。

 目が合ったとたんに身体が委縮するほどの恐怖というプレッシャーが当てられた。

「こらこら威嚇しないの!!」


「女帝さまが、しろと...」

 フレンドリーな雰囲気だけども、力の差は金髪ショートに分がある。

「どうも~ 魔王ですぅー」

 気さくな王もいたものだ。

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