表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
446/515

世界を灼いた女 4

 王都南部の紛争は、連邦の内戦で一番大きな戦いだった。

 過去形なのはすでにそれが終決しているからで。


 ノル・ファールン王国に唆された種族たちは、圧倒的な物量と兵力を背景に少数民族と対峙して、“北ドヴィナ川”の中洲で何もかも飲み込もうとしてたわけ。

 その大決戦地がかれたのである。


 あたしがヤちった。

 雌雄を賭けた戦士たちの誉れある戦場に、無慈悲なる炎が撒かれたってわけ。

 ああ、あたし天国行けないかも。

「乙女神に祝福された身だから大丈夫、大丈夫。それに、エルフだから当分は死なないし」

 他人事だと思って。

 魔王ちゃんって()()()()毒を吐くんだよなあ。

「やり過ぎッて言葉を知らんのか!」

 ロウヒって魔女の大叔母さんは動きがコロコロ変わってる。

 仰ぎ見ながら掌で目を覆う。

 すると、俯いて両手で顔のすべてを覆って。

 やはり腕で目を、

 明後日に視線を流して口元に拳が当てられ。

 唇を指で詰まんで物思いに耽る。

「(両手をがっつり結んで額に当てて)火炎球の範疇じゃないのは、理解しているのか?」

 あたしに鋭い視線が突き刺さってる。

 木箱の中で膝を折って仕舞われた()()()

 魔王ちゃんが戦場で回収して、この箱の中が安全だと言ってた。

 ミロムさんはその傍に立っている。

 メイドだし、従者だからか。

「(掌をぴたりと合わせて)ま、確かに衝撃的なデビューだったわけだが。魔王よ、()()とお前の関係はなんなのだ!!!」

 そこ、突いちゃいます。

 ミロムさんの大剣がぬっと、出てきた。

 ほんと、いつも何処に仕舞ってるんだろうって思うわ。

 冒険者必須の四〇元ポケットでもあるんかな?

「関係性ですか」

 魔王ちゃん渋るような仕草を見せて。

反転オルタとでも言いますか、または別離。まあ、充電しないとイケないので、本体から長くは離れられないのも欠点でして」

 つまり、と大叔母が問い。

 魔王ちゃんがこくこく頷いて、

「つまり、セルコット・シェシーという肉体を共有するふたつの魂が」


「火属性に極端な加護がある方が、そもそもの魔女ではないか!!!」

 この場合、セルコット・オルタ・シェシーを名乗るとしたら本来、あたしだってことになる。

 でも、魔王ちゃんは自身が“オルタ”を名乗っていた。

 念話を通じて『えー、かっこいいじゃんよ。セル・オルタ、うん、いいね!!』だって。

「バの付くほどの高火力の上に、異界の神が賽子サイを与えていましてね」

 ゾロ目が出れば確実にクリティカルが発生し、与ダメは1.65倍に達する。

 ベースも1.3倍で、さ。

 35パーセントも加算されるのだから、火の海になる方が早いという。

 あたしは、はじめての稼ぎで王冠を買って。

 守護神さまにお供えした時から“神の賽子”が手元にある。

 金は失くしても、賽子はいつも一緒。

 不思議な縁だとおもうわね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ