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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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北方・三王国時代 ヴァーサの戦争 5

 大魔女ロウヒが興した街としての名声のほかに。

 魔女らしく『ボクの街に手を出した者は等しく、呪いに侵されよ』って口上がよくよく効いている。

 実に四半世紀前。

 ちょっかいを掛けた阿呆が出てくれた。

 森の暴れん坊こと“オラオラ族”(サル系亜人オラ・ウータン種)。

 異世界のサルどもだ。

 人種族と同じ社会構造をもって、ウザい連中。

 話し合いとは殴り合うこと。

 勝利こそが正義、力こそが絶対の正義って考え方のバーサーカー。


 こいつらが。

 縄張りという我欲で、街を襲って返り討ちにあった。

 100匹とちょっとで攻め込んで。

 雷に打たれて退散。

 以後、だいぶ大人しくなった。



 で、だ。

 魔女ロウヒの下に別件の客が訪れる。

 今しがたこの強力な結界を鋤いた髪のように、かき分けて侵入してきた古き魔女があって。

 茶の淹れ方の指導を受けて、雑談で泣かされてた状況で。

 またも珍客となると。


 ロウヒも流石に心穏やかでは。

《いあ、目の前の魔王でもうお腹一杯なので、どちらか早々にお引き取りお願いしたい》

(それよりも、ロウヒのボクが... 退散するか)

「ちょっと何処へ逃げるっていうのよ?」

 “巫女以外はノーサンキュー”って託けておいた衛士たちの制止も袖にして。

 ()()が唐突に降臨した。

 エルフ族の至宝にして、至高なる存在。

「うわっ!! ま、まぶ、しっ」

 横に突き出た耳が大きく垂れさがり。

 ロウヒは必死に部屋の隅へ走って逃げてた。

「ロウヒちゃん? 大叔母リヒャルディスさんが遊びに来たんだから。ちょっとは御もてなし位をしっかりとね…」

 あら。

 女帝の声音から、意外って感情が出る。

 あたしが()()ちゃんと呼ぶ、本物のセルコットがそこに鎮座。

「世界を灼いた大魔女、いえ魔王がこんなトコに? 女帝わたしに伏礼する義理はないってことかしら」

 女の戦い。

 どっちがマウントを取るかの。

 格でいえば、ハイエルフの純血統種であるリヒャルディスさんが上。

 いあ、エルフの至宝だから天井が見えない。


 片や魔王ちゃんは、乙女神の係累。

 彼女のための世界を手に入れた“純粋な力”ともいえた。

 血統でいうと、あたしと同じハーフかクォーターくらいの雑種だ。

 負い目がないとはいえないけど。

 気にしてたかどうかは()()に聞くしかない。

「同胞の多くが死んだから、仕返しのついでにロウヒの“呪術ちから”でも頼りに来ましたか? 女帝さま。まあ、生憎とですねえ~ ロウヒとのデートは私が先に取り付けているのです。あなたがたの児戯に、付き合い振り回されるほど暇ではないんですよ」

 魔王ちゃんの挑発。

 しなくてもいいのにって。

 あたしは思うけど。


 ロウヒが部屋の隅から隅へ走り待ってるとこで。


 ぴたりと動きが止まる。

 女帝と睨み合ってたふたりで――。

 なんか意気投合してたっぽい。

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