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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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北方・三王国時代 ヴァーサを救え 5

「我々と協力すると?」

 むしろ、お願いのような言の葉で告げられた“協力”。

 共同戦線とも置き換えられるだろうか。

「祖父の手に落ちた乳母の仕業ですから。ここらへんで私も、そろそろ静かに退場したいのです」

 喧嘩王の盤上から自死のない降板で、幕を閉じたいって事だろう。

 王族だからどこへ行っても目立ってしまう。

 簡単に降りれそうにはないが。

「――いや、そこは。我が陛下の、か」

 魔法の大家。

 エルフ国の女王が仕切るかもしれない。

 いあ、面白がって傍に置くだろうなあ。

「なにか?」


「して、協力するにあたってですが」

 こちらの、ハイランド側の意図はすでに推測済みだろう。

 干渉してこないと思ってた勢力の登場で、流れが変わったのだから。

 こうも大胆に動いたのだ。



 今まで、国王から贈られた宝物ほうもつは皆、よく似た偽物へと挿げ替えてある。

 姫妃の生国から彼女自身が開拓して、育ててきた()()に買い取らせて、備蓄金ちょきんしておいた。

 出所の分かりやすい宝飾品は一点物が殆どで。

 再加工でもしない限りは二束三文になる。

 姫妃は商会を育てるうえで学んだようだ。


 まあなんとも、頼もしい人だ。

 若いのに。

「陛下からの贈り物の殆どは、乳母が強請ねだったものですからね。あの人は今でも自分の手元にある黄金や首飾りが、偽物だって気が付いていないと思います。そういう意味ではとても幸せな人生じゃないかなって」

 寂しそうにもみえたが。

 喧嘩王の盤上に話が。


 自分の血を引く王族が傷つけられたことへの()()

 これがかの王の大義名分となる。

「だとすれば、誰でもいいのでは?」

 極論だけど。

 姫妃が民衆の前に現れるのは公式行事くらい。

 しかも遠目なので民衆にとっては、衣が似てるだけで成立しそうだ。

 乳母でも本人でも、それ以外でも。

「まあ、確かに。首実検か、検分は事が為された事後のこと」

 姫妃でなくても...

 事後の検分でも、相違ないってことにされ。

 結果、姫の処分は“死亡”から逃れられない。

「生国には」


「戻れないのは、分かってましたよ?」

 最後の言葉を紡ぐとき。

 少し間があった気がする。

「事後は、リヒャルディス陛下にめい一杯媚びを売ってください。あの()、かわいい物には目がないのできっと、悪いようにはしませんよ」

 まあ、これは本当のことだし。

 あの人の周りには猫が沢山いる。

 すぐ、拾ってくるんだよなあ。

「では、軍資金ですが」


「奴隷兵の解放は待ったなしなので、その職業軍人らを買い戻しましょう!!」

 莫大な軍資金が()()()にはある。

 それこそヴァーサの国庫に眠ってた頃よりも多く。

 最初の元手は宝飾品の売価。

 先のように一点ものは売却益が少なる傾向がある。

 育てた商会でも買取が渋られたほどに難儀だったが、商魂逞しいというか。

 姫妃はそれらを元手に投資したんだという。


 結果、中央欧州の小競り合いで、ひと儲け為したそうだ。

 投資方法は明かさなかったが。

 関わった商人たちとWin-Winだって話だから。

『さて、反撃と行こうかねえ~』

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