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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
424/510

北方・三王国時代 ヴァーサを救え 2

 ハイランド王国の主力は騎兵。

 先の大鹿を乗りこなしたエルフ精鋭部隊のような騎兵だ。

 これが約5千騎あって、機動力を生かした遊撃となって千がひとつで万に匹敵すると評価された。

 かつてヴァーサ王国が“連邦”の北方に攻め込んだ際、その身でとくと味わったというのが。

 ハイランド・千騎兵の伝説だ。


 人の支配する王国で、50年前とか100年前ともなると。

 平均寿命30歳の世界では孫かひ孫に聞かせるような御伽噺扱いだ。


 そんな時間ときの流れの中で。

 人の10年は貴重な資源。

 さて、賢者が持ってきた親書の気の早さ『そろそろ平和協定の話でもしようか』要約すると、こんな感じの内容だった。

 エルフ族の文字はキレイだ。

 口の葉に出して呟くだけで魔力マナが寄ってくるイメージで。

 詩を紡げば、星が酔うほどの美しい歌になる。


 人の文字は汚い。

 エルフのと比べれば、だ。

 しゃくれた顎で濁声っぽく語りかけてくるような――女帝の書記官が懸命に書き殴って、ようやくまともに文字になった感じの親書。

 レベルを落とすのも骨が折れる作業。

「気が早いではないか!!」

 玉座にふんぞりかえる好色王の姿。

 腰のふんばりが効かぬようで、座り方が浅くみっともないものになってた。

「エルフにとっての10年は瞬きのよう、さっさと延長して来いと... 同じ人の身である拙僧が参った次第。(周囲をくまなく焼き付けておいて)次の百年も良き隣人として手を取り合っていきたいものですな」

 世辞しか入ってない中身のない口上。

 嘘はないし、不安要素さえなければ放っておく国だ。

 偶に出てくる賢王にいくばくかの期待もこめて。

『強く、逞しく、そこそこ邪魔だけしないならOKです』みたいな。

 応援だってする。



 王城の最奥ではないが、三の楼閣の外。

 中庭と教会が臨時の宿舎に宛てが割れた。

 女帝リヒャルディス曰く――『千騎兵の伝説に乗っかるだけ乗っかれ、一番奥に入れたくはないが“()”で無ければ手が届くところに置きたがるだろ? 例えばかの国の軍師や政治に明るい将軍たちが、雄弁に語って聞かせて王も、な?』――その通りに賢者も動かされてしまった。

 食客の軍師として、親しい将軍たちを説き伏せて。

 千騎兵と使者を中庭へ。

 三の城郭と二の城郭から動向を、監視出来るからって理由だが。


 何かが起きた場合にどちらへでも兵を動かせる利点がある。

 ハイランドの賢者と“連邦”の使者が鉢合わせするも、会釈どまり――目配せもあったけど。

「なにか?」

 弟子だ。

 左の眼帯が取れて、左右の色が違う目になってた。

「おお、色男になったじゃないか!!」


「揶揄わないでください。これでも彩が違って見え辛いのです」

 数十秒先の未来が見える。

 馴れれば設置型魔法トラップを敷いた戦術的な魔法使いに成れるだろう。

 馴れるまでは百里眼くらいに思ってくれ。

「さて、先ずは誰が来る?!」

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