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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖女連合軍、立つ! 5

『へぶしょぉぉぉいい!!』

 顔のパーツが飛ぶ勢いで、乙女神はくしゃみをした。

 生唾みたいな飛沫しぶきを御使いたちが喰らったとこで。

「ここは、どこ?! えー、また、ここぉー」

 あたしは天界に呼ばれてた。



 あたしも喰らった飛沫を、着てた麻袋みたいなワンピースで拭う。

 裾が短いから、これ。

 腰の下は丸見えじゃねえかな?

『誰か、わたしの噂話してるよね、ね?』

 今更、噂話でくしゃみもでまい。

 あなたのことを悪く言う人の方が多数派ですよ、と。

「はて? そんな事で呼び出した」


『そう、なんか()()()()()鋭くなった?』

 おやおや????

 セルちゃんですと。

 そんなに親しみ込めて呼ばれたことは無いんですが。

 乙女神さまは何をお隠しになってるのかな。


 直近でも“まな板”だったような。

『――っ、もうヤダなあ。セルちゃん相手に(肩を竦めて、両腕を広げてた)、ぼぉかあ、やましい事なんか考えたことも...(なんか妙に焦りめいた雰囲気が)行動もしないよ。ここは紳士的に...』

 あんた女神じゃんか。

 何が紳士だよ。

「そうですよ、セルももっと強く非難するといいのです。この腹黒、若作り女神野郎って!!」

 聞き覚えのある声音。

 振り返ると、背中の影から“魔王”ちゃんが現れた。

 あたしの表情は分かり易かった。

「質問ですか、ま、簡単に要約すると! セルと()()()が、気付いてると思うのですが、同一の存在から分割されて危険物ではなくなるよう、仕組まれたからに他なりません」

 うん。

 うすうすと感じてはいた。

 意識したのがいつだったかは、覚えていないけど。

 あたしの中にもうひとり居る。

 彼女もあたしを認識してて、護ってくれてた。





 そして、その彼女は。

 乙女神を見知った存在だってことも。

 歴代の聖女たちも存在くらいは、現役の頃に気が付けたかもしれない。

 彼女が初代の聖女だ。

「あなたが焦っているのは、どちらの状況かしら?」

 魔王ちゃんの思考が流れ込んでくる。

 いつもはフィルターが枷になって全く読めないのに。

 ここが天界だから?

「今のセルなら理解できるからです。世界を灼いた魔女の魂を持って、エルフに転生したドジっ子さんで、わたしは魔女あなたを封じる為につくられた聖女じんかくですから」

 つまり。

 世界を支える三柱のひとつって事だ。

 もっとも、今のあたしに世界を灼いて、神に仇なす力はない。


 いや、乙女神は――『魂が望めば、そう出来るものなのよ』だとか。


 そういうものかな。

「いや、あたしを怖がるために呼んだわけじゃないよね?」

 乙女神の陰鬱なとこにちょっとイラっと来る。

『召喚した勇者が、消滅しちゃった』

 早く言えよ。

 いあ、半神っていう権能はどうしたよ。

 そこは“魔王”ちゃんが補足して、

「神といえども万能、不死身なんてことは無く。かつて好き放題に世界に君臨し続けた者たちへ、鉄槌という生者の怒りを下した存在、忘れてないかな? ほら、魔女、魔女」

 世界を灼いたって話だけど。

 天界から諸ともに神々を放逐させた業火がある。

 下手を打てば神も死ぬのだ。

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