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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖女連合軍、立つ! 3

「勇者召喚が“世界を正す”と?!」

 あたしのお爺ちゃん、ホーシャム・ロムジーの驚き。

 どんな特権的なステータスを持っている人でも、瞬きのような一瞬の人生のなかで。

 神の存在を肌で感じることは稀に違いない。

 生涯の中で“ステータス”なんて叫ぶことがあるだろうか、否、否である。


 冒険者登録したら、与えられるものだと思っている。

「だが、邪神の出現が公になったのはついぞ最近」

 そう。

 勇者誘拐の裏で暗躍してたのが、邪神教って流行りもしない有象無象。

 お爺ちゃんが命からがらの果てに助けを求めたから発覚した。

「時系列的に、は...です」

 まだ口を尖らせてる蒼炎の魔女。

 大人げないなあ。

「教会だけが悪者にみたいに扱われているのが気に食わないです」

 それは、また。

 ヒルダさんが問い詰めなかったら口も割らんだろ。

「あのゴーストタウンには、ネイザー・ヘドンが居たんですよ!! 魔法詠唱者協会メイジアソシエイトのエージェントが。正教会は乙女神の動向を探っていて、ここだ!って当たりを付けましたが。じゃあ、彼らはどうやって? デス」

 ま、まあ。

 言われて――いや、マジでネイザーさんが居たん?

 その痕跡という状況証拠だけど。

 居なかったとも言い切れない。



 ま、難しいことは考えないことにする!

 あたしが能天気な表情に変わったのを周りが目撃して――。

「よし、先ずはメシだ」

 ここゴーストタウンですが。

 逞しい師匠がノラ牛を指さしてて、

「あれも食えるよな?」

 えー。


 聖女軍となった大所帯。

 ゾンビの躯は早々に片付けて、いくらか原形をとどめてる家屋に引きこもり。

 とりま、それぞれの拠点として。

 村の広場に集まってみた。

 蒼炎の魔女が鍋? 鍋? ...これ、毒薬でも作るような鍋だよね?

「ま、まあ作らないとは嘘になりますけど。雑炊だって作るんで、いきなり苦しんで倒れるなんてありえません。ちょ...ちょっとはきゅ~んって泣くかもですが」

 えー やだー。

 紅の後輩も鍋を、待てこら!!

 それは騎士団の盾じゃなかろうかい。

「ええ、盾の掴み手の皮紐を外せば。それなりに肉も灼けると思います」

 汗臭そうですけどね。

 これ以上、肉を臭くしないでほしい。

「なら、儂の剣で」

 お爺ちゃん!!!


 もう、この人たち、自由人過ぎる。


 魔王ちゃんと、エルダーク・エルフの5人も焚火を囲む。

 健在な家屋から鍋を探してきたらしく。

 手持ちのラードを薄く切り落として、干し肉がするっと滑っていった。

 つるん、つるん。

 なんか...

「セルはわたしと... 食べる?」

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