聖女連合軍、立つ! 1
教会は諜報事として修行僧や修行尼を使う。
各地で托鉢を行って。
人々の噂話を集めるのが仕事だ。
噂話だって煙の立たないところからは、勝手に生まれやしないのだから。
いつもと変だな
から尾ひれが付くので。
こうした話は集める側にとってはかなり重要だ。
遠見の手鏡なんかで枢機卿に報告するのだけど。
さて、ここからが問題です。
教会は何処まで把握しているのでしょう。
「そうだ! 早く言わないと、先ずは腰から砕いてやろう!!!」
結構、物騒な話に聞こえるけど。
これは風呂場を遮った布壁の向こう側でされるがままの、蒼炎とヒルダさんのえちちな駆け引き。
蒼炎だって指技に賭けては教会随一。
再教育だと言って、我儘な巫女を一晩賭けて、篭絡したという伝説がある。
ただし、基本的に彼女の場合はマウントを取ってからが多かった。
じゃあ、逆の立場に成ったら。
紅の後輩とも攻守を替えて舌技と指技の耐久に挑み――ともに翌朝まで耐えたけど。
あたしが聲を掛けに行ったら、果ててた様にしか見えなかったんだよね。
本人たちは頑なに違うって言い張ってたなあ。
懐かしい。
「ほーら、身体は正直だなあ」
耳元での言葉攻めだな、アレ。
内太ももに膝が入って身じろぎも出来ずに、谷を攻めてる。
ひと指しゆびと中指に、粘っこいお汁が...
「これでも未だ、か?」
膝がガクガク鳴いてる。
腰がひとつ下がったところで、ヒルダさんが膝で支えてくれて。
「おやあ、わたしの膝に暖かい露を感じるなあ」
それ以上は後生ですよ。
「ちょ、ヒルダ様っ!」
後輩が彼女の袖を引いた。
ああ、同僚として見ていられなかったのか。
「教会は勇者の誘拐をはじめから知ってました」
吐露した。
頑なに口を噤んでた魔女の頑張りは泡と消えたけど。
後輩ふたりは、他者を篭絡するほど経験はない。
だからか。
蒼炎が失神すると同時に漏らしちゃってて。
◇
冒険者ギルド派遣チームのリーダーも、あたしらの会合(情報のすり合わせ)に参加してくれた。
彼らは『乙女神さまから、正教会と距離を取れと』言伝を得て行動してた。
聖女のセルコットを頼れとも言われてたけども。
そこに教会の手先がべったりだったので、言伝の方を優先したのだという。
「それ、正解!」
師匠が指さして、冒険者に肩入れする。
教会のすべてが『悪』みたいなものじゃない。
ただ、権威が皇帝や、国家を凌ぐような時があるから嫌われるのだ。
特に戴冠式の時とか。
「それは...」
国民から王家がどう見られているのかとか、或いは王権を得るに当たり『神様から祝福された、絶対君主である』と、広く他国にもこれぞ正統なる継承であると、知らしめる必要が時代ごとにある。
教会の権威の傘を利用した時から、王権が人の世界のものじゃなくなった。
もはや鼬ごっこみたいなもので。
「だけど、情報の隠匿はしてた?」
「はい」
神殿騎士たちは、置いてけぼりの高度な政治。