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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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邪神と勇者と... 1

 邪神とソレに憑依された青年と、導師たちは港町“ガンガガ・ンガナール”にある。

 対岸に見えるのは中央大陸の白い影だが。

 近くに見えても、船で4日ほど先の景色。

 つまり、アレは蜃気楼の類だ。


 勇者たちの扱いは更にぞんざいとなって。

 もう人権も何もあったもんじゃない。

 とりあえず鉄製の檻の中に放り込まれた状態で――「確かによ、放り込んだりしてやったがよ。()()()待遇の改善とか、訴えるか。或いは自分たちで体勢くらい、変えてみようとか思わねえのかよ? 見てるこっちが心苦しくて宜しくねえ」

 なんて邪神崇拝者から同情される。

 勇者たちは山となって重なり、一番下にジジイ。

 直ぐ上がデブで、ハゲとヤサが続いてショタとビッチが重なってた。

 うーん。

 今はショタとビッチがセット扱いなのか。



 邪神に憑依された青年は冷静だが。

 心中穏やかではないのが邪神だ。

 彼が()()()()ではなく、残滓である自覚があるようで。

 魔の気配が濯がれたという感覚が、焦りを生んでいた。

『このままでは』

 天界に呼ばれたあたしのように。

 青年は自分の内側へ、邪神の本性と語り合っているとこ。

「勇者を殺せる獲物があれば、迫る敵に対応しようがあるんだが。邪神あんたは何か知らないのか」

 知ってればイの一番に。

 否、彼の性格したら、勝ち誇ったように他人を顎で扱き使うのだろう。

 こうやって青年の心の隅で震えるような()()でもない。

『我の完全復活を、だな』

 とは言っても曖昧な指示が出るばかりで。

 そもそも論だ。

 こうやって、邪神に憑依されたのも偶然でしかない。


 たまたま、正教会・“白”の枢機卿から。

 島大陸に遺物の痕跡があると告げられて、神代のものであれば教会が検分しない訳にいかないと。

 そう、神秘科に打診がきて調査に出向いたのだ。

「じゃあさ、その不確かな... 勘のような位置当てクイズめいた導きをなんとかしてくれよ。今、あんたは自身で討伐されそうになってるんだぜ? しかも、えっと女神の力を削ぐために...だっけか? 各地から勇者を攫って、か?」

 勇者を誘拐するために用意された枷は効果的だった。

 邪神の墓所の中にあった遺物だが。

 乙女神の加護がすっかり消えてしまった。

 しかし、彼ら本来のステータスまでには及ばなかったとみれる。

 中途半端だ。


 仮に邪神そものを封印していた枷だとしても。

 彼が弱体化されてたとはとても思えない遺物。

『何が言いたい』


「邪神さまが言ったんだぜ、各パーツを集めれば。己の中に眠る神のぱぅわ~で以て、ひと柱のみの世界に再び天界の楽園を再現してやろう、と」

 その邪神が乙女神以前の主神であれば、だ。

 青年もなんとなくだが、勘付いている。

 揺れる靄だけの邪悪なソレが。

 口先だけの低俗霊めいたものだってことくらい。

 ただ憑依されているので、人よりも高次元の存在なのだろうってのは想像がつく。

『おおお、儂の記憶よ~ 次はどこの街にぃー!!』

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