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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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ゴルゴーンと、 2

 アイヴァーさんと子犬、ゴルゴーンの姐さんたちがシグルドさんと合流できたのは。

 さらに2日かかる。

 燃えた痕跡が残る例の郷の入り口で。

 犯行に及んだ結社の刺客たちは姐さんたちの手で露払いが行われ。

 生かしておいた捕虜も。

「すべて死んだ?!」

 自害だ。

 魔法による拘束だと、物理的な干渉がすべて無駄になる。

 拘束魔法の対象保護はきわめて強力だ。

 なにせ、大概の種族は死にたがり屋なので、こういう条件が付与される。

「オオカミだけが異常なんだ」


「なんだ、突然に」

 シグルドより年長のアイヴァーが、ゴルゴーンに問うた。

 いや突っかかっていった雰囲気。

「捕まったら、仲間のことを謳ってしまう()()()()()()って言う考え方だ。刺客は、仕損じたら次が無いくらいの覚悟で臨み。捕まりそうな状況であれば、自死も厭わず実行しろ... その覚悟で動け!」

 ドライ。

 いや、冷たいかもしれないけど。

 そうした死にたがり屋の為の拘束魔法なのだ。



 で。

 拘束魔法の対象者保護条件は、魔法干渉だって赦さない。

「秘密結社、いや... 騎士団の残滓どもは生き恥を是とする人種族ひとにしてはドライ。この潔さ、竜人にも勝る、恐ろしさがあるか」

 ドラゴンの眷属か、祖とする亜人種は高潔な持ち主が多い。

 なかでも竜人族はイカれてて。

 そもそも刃が通らない腹に短剣の刃でも立てて、

『――っ、無念! 口惜しいがこれも()()()、ここで見事腹をば掻っ捌いて果ててしんぜよう!!!!!』

 なんて吠える連中だ。

 失敗の大小は関係ない。

 兎に角、すぐに指を詰めようとして。

 持ち込んだ短剣が刃から折れて宙を舞うのだ。

『無念、無念だー』

 と、嘆く面倒な連中である。



 ゴルゴーンの治癒士ヒーラーは、死体検分も出来る。

「拘束魔法をトリガーとした自死だそうだ。襟元や、脇の下に口の中など... 考えられそうな隠し場所は、かつての服毒自殺の時と変わらんようで。竜人族の奴らが参加してたら、生き証人が死んだのは己らの不甲斐なさだと言って、刃が通りもしない短剣でもって死にたがり屋を演出して、すこぶる騒いでたであろうなあ」

 リーダーの妙齢な女性は、肩を落として息を吐く。

 燕尾服の少女ナシムが駆け寄り、蛇女の彼女たちに抱き着いて。

 懐かしさと甘えた声色で、

「姉さまだー!!!」

 巨躯の上半身が人で、下半身が蛇に見えるゴルゴーン族。

少女アレも、蛇女あれに成るのか?!」

 シグルドさんに問う。

 小声だけど。

 マディヤが己の“たわわ”を押さえつつ、アイヴァーさんに近寄って行ったとこで。

 アグラに突き飛ばされ、

「ナシムだけじゃねえ。あれら姐さん方も、普段はあんなじゃねえぜ」

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