表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
400/510

ゴルゴーンと、 1

 各地に点在してた“隠れ郷”が狙われた。

 アイヴァーやシグルドのような、ツーマンセルで行動するオオカミたちの拠点。

 魔界から出ている戦力は、当事者も正確には把握していない。

 仮に捕まった時、

 敵勢力に捕捉されかねないからだが。


 こういう未曽有の危機のなかでは、猫の手も借りたいのに。

 把握が困難なせいでハトだよりになる。



 ゴルゴーン族には男の戦士がいない。

 アマゾネスな構成で、他からオスを調達して種付け行為に至る。

 オスは皆で交互に使って()()にするんだけど。

 強い戦士が生まれなければ、子ヘビのエサにされる。

「――なんか、凄く怯えた目で見てるんだけど?」

 子犬がだ。

 魔狼、人狼族の子供たちには、躾の為にゴルゴーン族の男漁り、男狂いが語られる。

 その刷り込みが残ってる子犬は。

 腹の下に尻尾を丸めて、きゅ~んってなか細く鳴くのだが。

 怖がらせている原因が目の前に。


 アイヴァーさんも、こればかりはどうしようもなく。

「姐さんたちが怖いとさ」

 大人のオオカミに匹敵する体躯で、いや。

 より大柄な骨格と“たわわ”がある。

 戦闘で身を捩ると、逆方向へ揺れるほどの実だ。


 腕の筋力も尋常じゃない。

 肩幅が広く、背中の広さなんて魔狼の戦士よりも大きい。

 魔界の重戦車オーク並みの巨漢だが。

「今、何かと比べたか?!」

 察しの良さは女性特有の繊細さがある。

 おっと、レディに失礼しまくりです、アイヴァーさん。

「ところでオオカミ」


「へい」

 焚火の周りに集まり暖を取る。

 アイヴァーさんもオスだから目のやり場に困り、返事もどことなく気が乗らない。

 彼を助けたのがリーダーなのだろう。

 彼女が指図して、蛇女たちは外套を着てくれた。

「シグルドというオオカミは、知っているか? このあたりの隠れ郷にまで案内してくれ」


「ああ、シグルドは俺の連れだ。あいつに何かあったのか?!!」

 少しだけ語気が強くなる。

 揺らぐ影を撃退したほどの戦士が数名。

 いや、リーダーである彼女も相当な場数を踏んだ剣士だってわかる。

 だから仇を打とうとか、そういう気にはなれないけども。

 子犬を抱いて逃げるくらいの。

「いや、待て待て。こっちは何もしていない!! 現実にお前の窮地を救ってやったばかりじゃないか」

 他人の話は最後まで聞こう。

 オオカミは()()()()というイメージが上書きされた。

 各地でも同じような点で書き換えが起きてて。

 勝手に早合点するきらいがあるようだ。

「ツーマンセルも大概にしろよ!!」

 ハトと言う連絡手段の幅広い活用をレクチャーされ。

 シグルドが、この先、2日ほど離れた村に滞在している情報が共有された。

 ゴルゴーン族が協力している理由や。

 この先の共闘も、或いは結社だけでなく騎士団との戦いでも。

 一族だけでなく主神の御力まで借りれるかもしれない、朗報を。



 口汚いババアに報告する筈だった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ