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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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《三本爪》の勧誘 2

「で、俺を。いや、オオカミを呼んだ理由は?」

 ナシムの背後に空間の歪みの後で、マディヤが現れる。

 トイレに行ったら“紙”が無かったらしく、従者の下へ飛んできたという。

 羞恥心が無いのは、神なりのジョークか何かだろうか。

「――す、すいません。なんかシリアスなシーンでしたのに、急にトーンが下がってしまって」


「いや、俺も...その、見ちゃったんで、ま、ラッキーでした」

 ごめんなさいの押し付け合い。

 埒も開かないので、妹柱マディヤを交えた会合へと変わる。



 呼び出した理由は簡単だ。

 内側から引っかきまわすにも限界を感じたからだ。

 いや、すでに秘密結社アメジストはその実態をどこかに移管してしまったらしく。

 折角、潜入してまで有能さをアピールしていたのに。

 宗主とする人物も。

 組織上の駒に過ぎないことまでは突き止めた。

「じゃ、じゃあ。劣化とはいえひとつは簡単に潰せそうだが」

 ハトを使って暗殺の仕事でひとりづつ排除してきたけど。

 蛇の頭はいつでも生え変わるのが、こう、何十年も繰り返してきた。

「つまり、結社の重要人物を潰さない限り...」

 みなまで言わなくてもいい。

 ナシムは激しく頷いて。

「四つの組織には必ず宗主がいます。人々を鼓舞する役目の者の陰に潜み、圧倒的な統率力で群れを好きな方へ向かせることが出来るリーダーが。今のところ、冒険者ギルドの運営に携わる“世界評議会”という賢人の集まりなのではとも考えましたが」


「何か不都合があった?」

 新聞に目を通す習慣がシグルドさんには無い。

 そもそもその発行者が、冒険者ギルドなので。

 悪の組織なんて認定されてた、組織の広報誌なんて読むわけがない。

 たぶん読まないだろう。

「いえ、評議会メンバーの訃報と賢人のメンバーが明らかになりまして。我々で把握してた者はあくまでも、ギルドに関係してた部外者とわかりまして」

 紛らわしい。

 いあ、そう分かったから前進できて。

 そして彼らも詰んだところだ。


 故にバラバラで動くよりも、皆で協力した方がいいと思ったのだ。

「単刀直入に尋ねちゃうけど」


「はい! なんでも」

 シグルドさんのひと指しゆびがマディヤに向けられ。

「彼女は聞いてるだけかな?」

 ナシムが当然のように頷き。

 あかべこみたいに上下に首を振ってた。

「じゃ、」


「目を離すと、野獣アグラが悪戯しようとするんで。女神さまを護ってなきゃいけないんです!!」

 燕尾服の少女は()()言ったけど。

 シグルドさんの目には、彼女の方が危険に思えた。

 だって、女神さまにべったり引っ付いて頬ずりしてる訳で。

「なあ、アグラが旦那と呼ぶ()()()()よ。あんたの知識の中にアメジストの宗主ってのは、まあ、表向きの“顔”の方でいいから。何者かは分からんかな?」

 ナシムの耳がぴくりと動きはしたけど。

 スルーした。

 応えるとは思ってもみなかったようだが。

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