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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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《蛇目》の帰還 2

 聖都郊外の旧商会ギルドの廃屋群。

 昔は、ここで積み荷のチェックが行われて、聖都内に運び込まれていた。

 “金脈”にギルドが掌握される前の物らしいけども。


 使われなくなった後は、ゴロツキどもの溜まり場となってたようだ。

 アイヴァーさんの身に覚えのない()()()によって、郎党どもは一掃されて。

 治安が回復。

 かつて、“金脈”の素性が盗賊だった名残か。

 手入れで壊滅した彼らの腕には、申し合わせたようなタトゥーが彫られてたという。

 もちろん“金脈”の亡骸に掘られていたものと同じものである。

「出来すぎでしょう?!」

 衛兵詰め所でのアイヴァーさんの談。


 血を水で洗い流しても痕跡は残る。

 獲物の短剣だって、武器と武器がかち合えば刃毀れもするし、ガタつきもする。

 昨日今日のことだから。

 腰に提げてる一品ものが、何処にでもある安物であるならば。

 似せて提げているってことは、まあ、あるかもしれないけど。

 砥ぎ士に出して調整して貰い、武器屋へ持っていって柄とのガタツキを直してもらう。

 流石に一朝一夕では。

「で、ウトウィック氏は?」

 恩義のある衛兵も少なくはない。

 何かしらで心配はしてたが――。

「そのゴロツキどもが、俺のフリをした誰かに一掃された御蔭で。呪病ともいえる痕跡が消えました」

 ウトウィック氏ひとりならば、即日にも解呪は出来た。

 それだと商会の誰かに再び災いが降りかかることになる。

 十中八九、仕返しの仕返しめいた。

 負の連鎖だろう。

「そうかい、そうかい。なら、誰かに感謝だ」


「感謝、そうですね」

 腹の下の方がぎゅっと苦しくなる。

 感謝されるなら自分で成し遂げたかったって欲が無いことも無い。

「次は何処へ?」

 依頼を求めて渡り歩いてるように思われてる。

 実際に、ハトが来て“帰還する”か“次に行く”かで悩まされた。

 が。

「いえ、一度、戻る予定です」

 シグルドの方も気がかりだ。

 あれは運が悪い。

 自分ほどでもないけど、運が悪い方だ。




 まあ、あたしと出会うくらいには。



 ハト小屋からの依頼文。

 協力者の勧誘クエストだが。

 両者ともに初顔合わせだけど、それぞれが勘と匂いで嗅ぎ分けた相手。

「オオカミを呼んだが、よりにもよって猟犬が来やがったか!!!」

 アグラの手が柄に掛かっている。

 その背に隠れるような形で配置された、マディヤ・ラジコート。

 反転した肉体を持て余しているトコで。

 マディヤの肉遊びに、鼻血を流して瀕死のナシムがあった。

「お、ちょ...だ、旦那! ナシムが死にそう」

 ちょっと目を離すとコレだ。

 シグルドに静止を促して、燕尾服の少女にポーションが与えられた。

「お前たちも難儀だな」


「同情は要らねえが、先ずはポーションをくれ!」

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