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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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メラート郊外に冒険者と、光の柱 3

 使い魔のネズミは、T字路に差し掛かったとこで動きを止めた。

 鼻先をひくひく激しく動かして。

 チューって鳴いた。

「どったの?」

 蒼炎の魔女が使い魔に問う。

 ネズミはチューとしか鳴かないんだけど。

 ついさっきまで会話で来てたのに。

 使い魔契約が途切れたのか。


 って――心配そうにしてた魔女の指先に毛があたる。


 似た灰色のネズミが指先に齧りついてて。

『師、何処見てる?!』

 T字路のネズミは、使い魔の子分。

 同じ毛色だからすっかり見失ってたのだ。

「いて、いててて...」


『引き返そう! 師よ、ハトの奴が形勢が変わったと伝えてきた!!!』

 テレパシーで繋がっている訳ではない。

 彼らが縦穴にめがけて地表の様子を、木の実などを使って知らせてくれてた。

 蒼炎の足元をちょろちょろと走って状況の把握に努めてた。

 ゾンビたちの数も減ってるし。

 偽ネイザーが逃走したことも筒抜けだ。


 ただし。

 落とした木の実に気が付いて貰わなければ、それも意味がないんだけど。



 偽ネイザー・ゾンビは、寄せ集めの衣類と骨や腐肉で生まれたキメラだ。

 幸い頭は邪教の導師によるものだけど。

 流石に逃げ帰られる拠点も何もない。

 兎に角、彷徨うように走ってた。


 息を切らして、オアシスに立ち寄る。

 水面に映るゾンビにやや驚きながらため息――「こんな顔じゃあ、邪神さまに泣きつくことも」

 どうするべきかと水を掬って。

「渇きが癒せない、だと?!」

 水面に浮かぶ手首がある。

 見知った骨だし、眼前に腕を挙げて眉間にしわが寄る。

 まだ、そんな肉あったんだと。

 ゾンビも不思議がったけど。


 手首からすぱっと、切られてた。

 切断されて痛みなんか全くないから、切られた感覚もない。

「こ、これは?!!」

 気配はないけど、たぶん何か居る。

 そんな蟲の報せみたいなもんが働くことがある。

 偶にだから気になる報せなのであって、そもそも()()()()()()ならオアシスに立ち寄る前に、危機を嗅ぎ分けてただろう。

 偽ネイザー・ゾンビの真横にくのいち・イクハが片膝をついてた。

「おっと、その指輪。返して貰うぜ?」

 長身の男が浮かぶ手首を掬い挙げてた。

 ゴールドチョーカーの冒険者がそこにある――ただし、その服装は邪教の導師そのものだ。

「他の導師たちが死体群おまえさんを見て、冒険者が死んだと思い込んでくれたら好都合だったんだが、まさか教会からも魔女さんが派遣されるとは。思わなかったんでな、ゾンビに好き勝手させすぎた」

 トレードマークのタワーシールドは無いけども。

 彼が冒険者、ネイザー・へドンであるのは認識票も兼ねるゴールドチョーカーが首に巻かれている。

 偽物にはチョーカーがないし。

「ふふふ、俺をこの場で、殺すのか?!」


「ああ」


「メラート郊外の廃村に、魔女がいる...俺を殺せばスタンピードは止まらないぞ!!!」

 らしく聞こえたけど。

 イクハは否を告げた。

「それは無い! だってあそこには帝国の剣士たちがいるから」

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