表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
378/524

魔女とネズミとゾンビ 5

 地下水路と地上との差は、まあ、5メートルくらいしかない。

 元々は村の下水目的で作られたんだけど。

 村長は、有事の際の出入り口として拡張工事を行った。


 それが今、使い魔と蒼炎の魔女が利用する通路だ。



 ガス溜まりを起こさないよう。

 村長は、この水路に縦穴を用意した。

 まあ、当然。

 自分たちが村の外へ、侵入者に気が付かれずに、脱出するためのものであるから。

 その通路の全長はやや、長くなった。

 結果、空気の通り道も必要になったのだ。


 ダンジョンだって人工と、それ以外では決定的な差がある。

 “()()()()()()”だが。

 近年の冒険者ギルド調べでは。

 アミューズメント的な人工ダンジョン経営で苦労させられるのは、新鮮な空気の確保となる。

 地中に潜るのだから、ガス溜まりや地下水脈への引きは避けたい。

 なんせ、ガスは爆発。

 地下水脈は水没の恐れがある。


 天然のダンジョンは自然と一体化した魔法の空間で。

 えっと。

 何の話だったっけ?




 そうだ。

 竪穴の先、地表には穴が開いている。

 普段は茅葺の傘が被せられてて『なんだ、コレ』的なオブジェクトなわけだが。

 その傘を取る。

 いや、無作為に取られた先に。

 蒼炎とノラ牛と目が合ったとこ。

 じっと見られて。

『師?』

 動物の世界では、目線を外したものは“弱者”になる。


 あ、冒険者たちが横やりを入れたんで。

 デミミノタウロスたちのタゲは彼らに移動する。

「ありがたい、今のうちに」

 ネズミを急かして、

 よちよち這い出したところで――『おやおや? このメスの香りは、ああ、ああ。魔女さんデスか?』

 5メートル上にある地表から。

 空気の竪穴を伝って木霊する声。

 偽ネイザーさんのものだろう。

『使い魔を方々に飛ばして、食事を届けさせるとは。見事な采配でしたよ!!』

 余裕のありそうな声色。

 手練れだと思われる冒険者の集団と対峙してても。

 偽ネイザー・ゾンビは焦らない。

 それとも悟られないように?

『ここいらを片付けたら、また、お会いしましょう』



 あたしは聖女としての乙女神を讃える。

 紅の修道女である後輩から補助を受けて――

 御使いが驚きながら降臨し、あたしのまわりで『どうした? 改宗なんてらしくない』『お前なら拳でブイブイ言わせてやるとか、そんな感じじゃないのか』なんて具合に、変な方向で心配された。

 祝祷。

 天使の降臨。

 天界からの聖なる火によって、だ。

 見渡す限りが燃やされた。


 黒い靄。

 黒い粘着質。

 黒い人影が浄化されて、跡形もなく炭化する。

「燃えちゃった?!」


『ばっちぃっすから』

 乙女神の御使いだ。

 容赦がねえ。

 心がやられてた神父たちには張り手が贈られる。

 気合が入るだって話。

 ほ~。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ