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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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魔女とネズミとゾンビ 2

「そいつはオイラたちにはピリっと口当たりがよく」

 木の実を運んでくれたノラネズミたちの言。

 悪意はないんだろう。

 これは彼らなりの善意だ。

 だが、しかし。


 今、無意識に殺されそうになった。

《魔法が使えれば、この食えない実だって林檎なんかに変えられるのになあ》

 妄想するだけ腹が減る。

 割り切って食えば腹痛程度で。

 退きとどまった。

 今、こんな状態で腹を下したら、死ぬ。

 偽ネイザーは根拠地から彼女が逃走したことに気が付いている。

 故の追っ手なのだ。

 徘徊するゾンビが増えた気がする。

「ま、それは仕方のない事ですね」

 ん?

「なら、魔女さまは喰えそうな実と、喰えなさそうな実。サンプルをいくつか選り分けておいてください!! わたしたちの方で選別してまいります」

 うっわー頼もしい。

 これ、絶対に臣下決定じゃんよ。



 かくして、魔法が使えない魔女と。

 むちゃくちゃデキる従者ネズミ。

 目をギラつかせて徘徊するゾンビたちの、タイトル回収が出来たところで。


 あたしら聖女一行の話もここでしておこう。

 あたしらの足は山鳩とハヤブサの先導を得て、“メラート”郊外へと向かう。

 魔獣車の脚だと、3ないし4日。

 これでも徒歩で走破するよりかは早い。

 なにせ、邪神の影響下で邪気がそこら中に吹き溜まりみたいになってる。

 これを吸い込むと、やる気ゼロになって。

 引き籠りニートっぽくなるんだ。


 教会の従僕のひとりが誤って吸い込み、重度なニートになった。

 脱力しちゃって、聖職者であることを放棄した。

 隅っこでブツブツと『俺はデキるんだ、言われなくっても成果なら、いや。もっと上を目指せる、明日から本気出せば......必ず、だ、だから今日は、今日までは...』なんて独り言を念仏のように、唱えてる。

 恐ろしいなあ、邪神の力。

「――ったく、これで7人目だ!!! なんだって好きこのんで吹き溜まりなんかに近寄るんだよ、吸い込まれるようだったとかの証言もあるが、だ。だったら止めてやれよ、仲間じゃねえのか?!」

 怒れるヒルダさんも。

 黒っぽい影に惹かれている神父を見た。

 まるで腕でも引かれてるようだったと、証言してた――結果、こうして脱力者になった。

 その罪悪感が心を占める。

「はいはい、ヒルダさんももう気にしない!! 流石に誘惑が多くなってきたので、魔王ちゃんから提案がありました(魔獣車を盾にキャンプが張られる)。ちょっとここいらを浄化したいと思います」

 そう、聖女のあたしの出番だ。

 はは、みんな輝いた瞳であたしを見てるんでしょ... もう、そんなに期待しないでよ。

 あたし照れちゃうよ?


 は?!

 なぜ、見てない!!


「魔王ちゃんは思うのです(ハイって合いの手が入る)。邪気は、ヒトの心の隙に忍び寄ってくると、故に、自分たちは“神”の徒であるから大丈夫...なんて馬鹿げた考えと、自負は捨てないとダメです。ヒトは弱い、エルフも魔人も、猜疑心があれば病のように襲ってくる。それが邪気の正体です!! ですので、先ずは助けを呼びましょう!! 天界に.......たぶん、今、()()()()であろう乙女神さまに、助けを求める祝祷をあげるのです」

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