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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
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聖女の進軍 再始動 2

 教会で用意された地図によると。

 次の拠点となり得る街は“マトゥール”という。

 “アルーガ”から西へ60キロメートルほど進んだところにあるという。

 じゃあ、見えるんじゃね?って。

 ヒルダさんに言われて、あたしは城壁によじ登った。

 魔王ちゃんからは――

「わたしが抱えてあげたのに」

 ――すみませんが、聞いてませんでした。



 誰だよ、見えるんじゃねとか言ったの。

 魔王ちゃんも背伸びし続けてるけど、見えない――いや、彼女は飛べるんだから。

 なんか突っ込むと、泣かれそうなのでやめるが。


 地平線を睨むこと20分余り。

 なんだか肌寒くなった感じがする。

「ヒルダさん、見えなーい!!」

 再び、よじ登った城壁から転がるように落ちた。

 魔王ちゃんから、降りる時のエスコートが無かった。

 腕を伸ばして精一杯のアピールはしたんだよ。

 こう、ぷ、プリーズって。

「ミロムさ~ん、魔王ちゃんの手ぇ~先が冷たくなった~」

 あたしの安息の地が蹂躙された気がする。

 ミロムさんは魔王ちゃんに優しく抱擁して。

 あたしの居場所が。


「御心配無用です! この紅が」

 両腕を開いて――。

「冬が来るんだろ、ここら辺は島大陸の北になるし。ここは即決がものを言うと思うんだ」

 後輩の手、いや腰から地図を奪う。

 ヒルダさんが師匠の背中で地図を広げ、

「ロム爺はどう思う? ここの冬だが」

 若い頃は方々を武者修行して回った身だけども、この島大陸には夏か秋くらいしか渡ったことは無い。

「冬の経験はないな、廃墟だった家屋の造りからしても豪雪とも言えぬようだから。邪神のマイナス要素で何があるとも知れぬ...主力だけでも一気に踏破したいところだ」

 爺ちゃんも言葉に地図卓になった師匠も頷いた。

 動くと見えにくい地図が余計に見えないんだけどもね。



 邪神と青年は、棲み処を南へと移してた。

 封じられた遺跡には神秘とされる力は既になく、邪神教の導師たちにとっても安息と言う場でもない。

 しかも冬が来ると言うので、

「寒いのダメなんだわ」

 と、邪神が導師たちに告げてた。

 候補地は国境の街“シーガル”。

 もうひとつは、港町“ガンガガ・ンガナール”...ちょっと愉快そうな名前だけど。

 舌を噛む呪いの街でもある。


 名産は“オオワタリガニ”。

 茹でるもよし、戦うもよし、仲間にするもよし。

 体長は7メートルをゆうに超えて。

 総重量900キログラム。

 大きなハサミと鋭い足先からの突き攻撃は、フルプレートアーマーもひとたまりもない。

 女神の加護ごと突き崩すという話。

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