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守銭奴エルフの冒険記  作者: さんぜん円ねこ
364/513

世界を創った者 5

 戦闘部族“ゴルゴーン”は、()()()()()()()()に献身することを誓った種族だ。

 かつては竜神としての権能を持ち、多くのはした神を食らってきた厄災の権化。

 世界樹を己の身ひとつで捩じ切らんとした、馬鹿者ニーズヘッグとか。

 あとで、害虫駆除業者ヤルンヴィジュルの手によって灼かれてる。


 神々にケンカを売ったヨルムンガンドも。

 相打ちになった男神おがみの功名を、例の乙女神が掻っ攫ったため。

 今、この世界は彼女ひとりが独占しているのである。


 まあ、ゴルゴーンたちの口伝によれば、そういうことなのだという。


「公表は?」

 興味本位でナシムに尋ねてみた。

 これはひとつの宗教が生まれる兆しになる。

「口伝というのは、最長老から巫女たちにのみ伝えられ。やがて私たちの次代に同じようにして継承されていく。そういうものなんだ!! 口伝というのは...」

 繰り返しになるからナシムの袖を引っ張ったわけでなく。

 口伝の門外不出性に対して、マディヤはナシムの自慢げに語る口に人差し指を載せて止めた。

「それ以上言ったら、封じてた意味が薄れる」

 神さまの言う通り、てか。



 アグラはこれまでの流れを臓腑に落とし込んで。

「口伝は俺が他に打ち明けなければ、一定の効力が回復するもんかな?」

 乙女神の神アンテナにマディヤが引っかかるのを防ぐためにも。

 公は不味い。

「しかし、乙女神はそんなに怖いのかね?」

 実感がわかない。

 ま、高次元の生き物だからね。

 あたしだってチャンネルが繋がってなかったら、財布から金が逃げてく現状を乙女神の()()にして喚き散らしてたに違いない。で、女神不敬罪という罪状により、教会の独房へと放り込まれるわけだ。


 やだ、怖い。


「天界のチャンネルは蛇口の壊れた水面所の如く。いつも色んな喚き声が駄々洩れで、例えば神格にちかい何かが排水溝へと流れて行っても。乙女神ねえさんにはソレが何だったかまでは知覚できないと思う。意外とヌケてるんだよね、あの人...ただ、」

 マディヤに力強さが戻った気がする。

 竜種ナシムの献身が賜物か。

 あるいは、お腹が空いたか。

「世界を灼き、神々をもすべて駆逐せしめた魔女。名前を告げなければ力を封じていられる、堕天騎士でもある地獄の住人には要注意!と、ここまでかな...」

 くねくねと上半身が揺らぐと。

 ふにゃっと横に萎れていく向日葵の如く。

 昼食も結局取れずに、夕飯のみ楽しみに寝込んでしまった。


 汗を拭くといって上半身だけ半日、放っておいたせいだ。

 ナシムが拭くだけ、拭いたらマッサージしますからとお触りし放題だった責任だ。

 結果、彼女は風邪を引いた。


 生き神だって風は引く。

 いや、まさかくらいの驚きがナシムにもあった。

 その即日に、各地へ情報収集に従事しているゴルゴーン族の者たちへ『マディヤさま、風邪をお召しに』と。

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